第5話 イザベラ・テイラー5歳になりました
ちゅんちゅんちゅん
ことり達のさえずりで目が覚める。
「うぅぅ〜!今日もいい朝だ〜。」
そんな朝に起きた今日は私、イザベラ・テイラーの5歳の誕生日だ。
毎年私の誕生日は、町の民と一緒に祝われてきた。
今回の誕生日も同じなのだが、それにプラスして、教会に行って魔力測定という事をする。
これは、私の魔力がどれほどあるのか、またどの属性があるのかを調べるためのものである。
なぜ5歳になってやるのかと言うと、魔力がある程度安定して体の中を循環し始めているのが、平均的に5歳からとされているからである。
一応今日で精神年齢46歳になる私だが、やっぱりファンタジーの世界に来て魔法が使えると思うととてもワクワクする。
そんな私は、朝からメイドのマリーに手伝って貰いながら服を着ている時も、ワクワクソワソワしていた。
私の誕生日会バースデーパーティーは夜から行われることとなっており、それまでに魔力測定を行うことになっている。
なので、朝ご飯を食べたら早速魔力測定するために教会に向かう。
私の場合は、アルティニアに大きな教会があるので、そこで測定する。
本来は、大きな街に行って測定することが一般的だ。
理由としては、教会はあっても規模が小さいために、魔力測定専用の機材を整えることが出来ないからだ。
その点、アルティニアにある教会は規模が大きいため、魔力測定専用の機材がある。
本来、数十時間かかけて移動しなければいけない所を、数分で行けるのだから便利だ。
それに、まだまだアルティニアの教会にはいい点がある。
街の教会は基本的にお金がある貴族様しか使えない。
なぜなら、行きの移動にお金がかかり、モンスターが出るために移動する間の護衛を雇った方が安全に行けるため護衛を雇うお金、まぁこれはいる人といらない人といるが…、それと、着いてからの教会で測定してもらうために払うお金、帰りの移動にかかるお金、と様々な所でお金がかかってくるために、平民はあまり魔力測定を行うことが出来ない。
その点、アルティニアの教会ではアルティニアの民は、行きの移動のお金がかからず、護衛を雇う必要もなく、帰りのお金もかからない。
そのうえ、初代侯爵ネフィスト・テイラーが、より能力の高いもの達を輩出していくために、測定する時にかかるお金を、侯爵家が8割負担し、残りの2割を測定を受ける者が払うという制度にした。
その制度を今も使っているため、このアルティニアの教会では他の街よりもずっと安く、楽に魔力測定を受けることが出来る。
実際にそのようにした事で、より優れた能力を持つものを多く見つけることができ、今では平民から魔法騎士、参謀、執事、秘書等々、アルティニアの中で高い地位に着いているものたちもいる。
そんな町だからこそ、町が栄え、民が豊かに暮らし、経済が回り、優秀なもの達がこの町を支えている。
そんな良い町になっている。
トコトコトコ
「イザベラお嬢様!今日も美しいです!!」
「ありがとう」ニコ
トコトコトコ
「お嬢様!!お誕生日おめでとうございます!今夜、私たちからのプレゼントを楽しみにしていてくださいね!!」
「ありがとう楽しみにしているわ」ニコニコ
トコトコトコ
「イザベラ様〜!こんにちは〜!おたんじょうびおめでとうございます!これ、僕達からのプレゼントです!」
「ありがとう綺麗なお花ね!嬉しいわ」ニコニコ
町を歩くと色々な人が声をかけてくれる。
アルティニアという町を治めているテイラー家が誠実に、民のことを第一に考えているからこそ、こんな風に民が声をかけてくれている。
「イ、イザベラお嬢様!あの、お誕生日おめでとうございます。すみません!こんな不細工が話しかけて!」
吃りながらも私に話しかけてきたのは、この世界ではブスと言われる部類に入る顔の青年だった。
逆に言えば、前世では紛うことなきイケメンの部類に入る顔な訳だから、私が邪険に扱う事はない。
普通なら、この町でもほとんどの人が彼を醜いと言って酷く差別することだろう。
しかし、この町ではみんな平等、容姿など関係ない、という考え方なので、少し顔をしかめる人はいても、あからさまな態度をとったり、冷たく接したりするようなことをする人はいない。
1度、ほかの街に言ったことがある。
そこでは、とても酷い差別が行われていた。
醜い
こんなひどい格差があるのだ。
それに比べるとアルティニアはとても平等な町だと思う。
「ありがとう、不細工なんかじゃないわよ?大丈夫!もっと堂々としていなさい。そんなにオドオドしていると悪い人に付け込まれるわよ?」ニコ
「あ、ありがとうございます!僕、いや俺!もっと堂々とします!!イザベラお嬢様!ありがとうございました!!」ニコニコ
ああああああああぁぁぁ!!
イケメンのニコニコスマイル!!
尊いわ……!
まぁ色々ありながらも魔力測定のために教会に向かって歩みを進めていくイザベラなのであった。
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