第29話 成長の証
手始めに刃皇を振り斬撃を飛ばす
斬撃はミーシャに直撃したがダメージを与えられなかった、それもそのはず、ミーシャが装備している『炎獄之覇衣』は魔法、物理、状態異常、時間干渉、etc...
その他様々な攻撃とみなされる一切を無効化する。それはこの剣の効果も例外ではない
なので、二発目の斬撃に精神へのダメージを与える効果を付与し飛ばす
見事にクリティカルヒットするかと思われた斬撃はゼルセラの大鎌によって無効化される
舌打ちしたくなる気持ちを抑える
だが、焦る事はない、刃皇の真なる効果を発動させる
さっきの斬撃達はただの斬撃であり武器の特殊スキルを発動させた訳ではない
相手にもちゃんと伝わる様に微笑み真なる斬撃を飛ばす
それは、今までの斬撃とは比べ者にならないほどの巨大な赤黒い斬撃がミーシャ達目掛けて飛んでいくだがそれは使用者以外には視認することが出来ないため、回避行動をとることすらできていない
それは勝利を意味していた。刃皇の攻撃は相手を両断していた
「まだ負けてない!!」
その声は両断された場所から聞こえてくるミーシャの声だった
もちろん、蘇生アイテムを所持している事は最初から想定済みなので特に驚くことは無い
「まだ、諦めないのですね、」
「当たり前じゃん、試験なんだから!」
少し微笑む、その意気や良し、今度はそちらの攻撃を受けましょうと言わんばかりに両手を広げ相手の攻撃を待つ
コンマ数秒の間に間合いを詰めてくる、ゼルセラの攻撃やミーシャの攻撃をすべて体で受ける
攻撃を与えても変化が起きていない事に異変を感じつつも攻撃を繰り返しているようだ
攻撃を無効化しているわけではなくそのまま受けているのだ、もちろんゼルセラの使っている大鎌の能力の相手を切り裂くという効果だってもちろん自分に発動している
そのかいあって自分にダメージを与えられているのだ、ゼロというダメージだが―――
単純な防御力で受け切っているので最上級の武器達でもってしてもダメージを与えられるわけではない
自分がグレースを倒した時は武器とか以前に圧倒的なというよりグレース本人と同じ攻撃力を保有していたからに他ならない
防御を抜きにしても膨大なHPがあるので問題ないが...
流石に諦めたのか距離をとる、ミーシャとドラゴン、それを見たゼルセラも距離をとる
「本気で行くよ!シリュウ!」
ほう?私相手に手加減していたと?随分となめられたものだ
「『
ほんの少し経つとミーシャとドラゴンは光輝き、光が収まったころには、面影を残しつつも全くの別ものへと進化を遂げていた
頭部には角が生えており、背中には翼、身長も高くなり髪は銀色に輝いていた
ドラゴンの鎧と宝玉はそのまま装備に取り込まれており、コートの下にそのまま着用している様だった
その容姿はミーシャの成長した姿の様にも思えたが何より驚くのは膨れ上がったステータスだ。
今のステータスはゼルセラと同じ程、と言ってもゼルセラのステータスは戦闘前の『8782穣』ではなく『6400極』という自分の主人では理解できないであろう単位になっている
そのゼルセラに僅かながら上回っている、想像以上、いや、想像を超越した結果に感嘆さえ込み上げてくる
ここまで強くなったとはさすがの主人も思ってもみなかった事だろう
自分自身も見誤ってたことがある、素のステータスがミーシャよりドラゴンの方が高いことを...
だからこその「別にフツー」だと言ったのだろう
ゼルセラも驚いたようで口元が大きく開き瞳孔までもが開いている、自分より強きものは主人たちしかいないと信じて疑わなかったゼルセラに突如ライバルが出来たのだ。余程うれしかったのだろう
ミーシャは走って距離を詰めてくる訳でも無く歩いて近付いてくる
不思議に思うも到着まで待つことにする
目の前に着き視線を合わせる、今のミーシャの身長は『
美しくなったものだ―――
やがて、ミーシャのエメラルドを思わせる碧眼が赤眼に変化する
そしてミーシャの背後に何か巨大な影が見えその陰に睨まれると初めて戦慄覚えた気がした
恐怖を意識したのは初めてだろう、体に力が入らなくなり地面にへたり込んでしまっている、さらに自分の手を見てみると小刻みに震えている。—――理解不能
理解不能—――
その言葉しか思いつかなかった
自分の能力値が著しく低下しているのがわかりきっている
相手の能力に気が付いたときはもう遅かった『覇王覇気』自分にも効くのは理解していたがまさかミーシャが使えるとは思えなかった
予測不能—――
理解不能—――
解析不能—――
対処不能—――
自分の脳が一気にエラーと唱え始める
私は――――負ける....
≪視点変更 グレース≫
突如ミーシャが大人の姿になり髪も銀髪になっている、それどころかステータスもゼルセラと同じくらいにはなっているだろうか
そんなに成長したのか—――
やがてミーシャの碧眼が赤く変わるとシーラが地面にへたりこんでしまった
え?
どうしてシーラが?何が起こっている!?
少し考えこみようやく理解できた、ミーシャが使ったあれは『覇王覇気』だ、世界改変により自分にも適応されるとシーラから聞いてはいたが、本当に作用するとは...
ん?てことは今、かなりまずい状況なんじゃ?
恐らくミーシャは自分の攻撃は通用しないと思っているかもしれないが『覇王覇気』は相手の
その状態で『失墜の宝珠』による攻撃を用いればどうなるか—――
斬撃に切断の効果が付与された武器で攻撃されたらどうなるか―――
考えるまでもない、切断される—――まずい
まずいと思った時には既に体が動いていた
振り下ろされた剣を手で受け止める、ダメージは0
ミーシャは驚いているが今は介入しなければまずかった
「勝者はミーシャでいいな」
覇王覇気に当てられた以上、シーラに勝ち目はない、シーラに当てられている覇気を解除しシーラの方に視線を送る
シーラは深く呼吸をし呼吸を整える
「はい、構いません、私の負けです」
シーラも納得しているようだ、でもまさかミーシャが『
つまり、条件を達したってことか、どうゆう条件だったかを頭の引き出しから探る—――
駄目だ、思い出せん...
(お兄様自身が相手に対して枷した目標の達成です)
あ~そういえばそんな条件だったか、脳内で教えてくれたシーラに礼を言いつつもう一度考える
つまり、ミーシャは達成したってことか
「あの世界を楽しめたんだな」
「はい!!とても楽しく過ごさせてもらいました!!」
それはよかった俺がミーシャに達成してほしかったこと、それは、『楽しむこと』
「なら、試験は合格だ、何か褒美をやろう」
ドラゴンの方に視線を送るとキュピ?とはてなマークを浮かべている
「お前に名前をやろう、いや、返すと言った方が正解だな、『マーシャ・ストロニア』これからは姉とのんびり暮らすと良い」
名付けをしたからなのかドラゴンの体が光輝く、光は一度見上げる程大きくなるとやがて小さな人型になって行った
光が収まった頃にそこにいたのはドラゴンでは無くミーシャとそっくりな顔をした少女だった、違いがあるとすれば髪の色と角が生えている事だけだろうか
いや、もう一つ、胸が少し大きい、双子なのにどうしてなんだろう?ドラゴンになった影響かな?
改めて見ると双子だと言う事がわかる、2人とも超絶と言われるほどの美少女だ、やはり俺の目に狂いは無かった
ミーシャは目に大粒の涙を浮かべマーシャに抱き着く、そして子供の様に泣きじゃくった
それはマーシャも同じ、双子はお互いをもう離れないと言わんばかりに強く抱きしめている
泣いてる姿もとてもそっくりだ
これからは二人で怯えることなく幸せに暮らしてほしいものだ
あの力があれば何不自由なく暮らせるだろう
そろそろこの荒野から帰るとしよう。『
もちろんユウカとエミールの事は忘れていない
この後は自由行動だ、とりあえずユウカとエミールの意識が覚めるまではのんびりしていよう
というより、エミールはいつ戦闘に参加したんだ?てゆうかいつ意識失ったんだ?
2人の目覚めを待つ間に少し世間話をした、あの世界での生活のことなどだ
その際しっかりとミーシャがサボっていたことを聞いた、なる程、ミーシャがサボっている間にマーシャは頑張っていたからこそマーシャの方がステータスが高いのだ
それにミーシャは途中から気付いていたようだ、なんと最初からシンクロ率が最大だったらしい
確かにそれなら、途中で気付くな...
それにあの世界で俺とも戦った事があるらしい
ゼルセラと協力して戦ったが瞬殺されたそうだ、さっきみたいな激しい戦闘ではなく、初めから剣を使用され切られたとの事
かわいそうに...どこのどいつだそれは...
—――俺か...
「
確かに俺だってそう思う、同感だ
あっという間に1時間が経過しようやくユウカとエミールが目を覚ます、それと同じタイミングでユウカの家族も玉座の間に到着したようだった
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