第3話女神降臨

グレースとエミールはノエル王国の都市を見て回った。人間の都市の割には亜人種が多いようだ、耳長族エルフ小人族ドワーフ獣人族、知性のある種族の入国は許可されているようだ。



だが人間の数が少ない亜人種の中では暮らしたくないということだろう。

だがそれを理解するには現世のことを知らなさ過ぎた。エミールは人間たちの事なら知っているようだが魔物や亜人種。それこそ魔王のことについてはあまり知らないだろう。



「俺の、配下を一人呼んでもいいか」



グレースは世界や魔物たちの情勢に詳しいものを連れてきたいと思った。



「いきなり都市を壊したりしないわよね?」



その心配は必要ないだろう、グレースは確信していた。

グレースが手を伸ばし転移門ゲートと唱えると何もない空間に穴ができた。すると一人の女性がその穴から出てきた。

風になびくブロンドの髪は神々しささえ芽生えてくる、白をメインにしたドレス、そしてなんといっても胸その大きさが尋常ではない、一言でいうなら、デカい、エミールは一目惚れでもしたかのように固まっている、それもそうだろう女神のような美しさには女性でさえ見惚れてしまうほどなのだから。



「グレーステ・シュテルケ様、私のマスターよ御身の前に」


エミールはまだ開いた口が塞がらないようだ、この女神のような女性がグレースのことをマスターと呼んでいたからである


「早かったな、フレイヤ」


グレースが話しかけるとフレイヤと呼ばれた女性は不満そうだった。


「できればもっと早く呼んでほしかったです」


不満そうな女性は頬を膨らませている、


「あ、そうだ紹介がまだだったな、こいつは、フレイヤだ」


グレースが軽く紹介するとフレイヤと呼ばれる女性は自己紹介を始めた



「私は、豊麗神・フレイヤと申します。どうぞ、これからよろしくお願いしますね、エミィ様」



エミールはまだ理解できていないようだ。それもそうだろうこの女性は豊麗神と名乗ったのだから。

豊麗神・フレイヤは他の国で御神体としてあがめられている程の存在なのだから。



「豊麗神って名乗らないほうがいいんじゃないか」



グレースは少し不安だった、神が地上に来ているとなると大騒ぎになると思ったからである。

それに修羅の世界にフレイヤがいるということは現世にもフレイヤが存在する。

それを避けるために修羅の世界でも転移できるのは最高神と対を成す存在だけとされていた。

そしてグレースは最高神からそのスキルを奪い覇王の座を手に入れた、そのスキルの一つが転移門ゲート現世の最高神はこのスキルを使えないので、現在修羅と現世を行き来できるのは2人しか存在しない。



そんな話をしてもエミールの耳には届いていなかった、なぜならエミールはすでにフレイヤの下僕と化していたからである。


フレイヤの固有能力『豊麗神の威光フレイヤ』の効果により魅了状態になってしまっていた、理由は簡単、目がハートになっているからである。

フレイヤの固有能力『豊麗神の威光フレイヤ』の効果は自分にたいして好意を抱いた者の精神と肉体を支配する。というものただし同格以上には効果が無い、なのでグレースには効かなかった。

なお、グレースの常時発動能力パッシブスキルの『覇王の威光オーバーロード』と同じようにスキルは常に発動しているが効果のON/OFFは自由自在。



フレイヤが少し微笑むとエミールは正気を取り戻した。


「ごめんなさいね、少しあなたを試してみたくて」



その微笑みにエミールはまたトキめいていた。




三人は町を一通り見た後と女王との交渉に向かった。

向かっている途中で自分が去った後の修羅の世界のことをフレイヤに尋ねた。

内容は意外なものだった。



俺が最高神と絶対神を倒したときから最古の超魔王ヴェルナータの存在が消えてしまったらしい。

ヴェルナータは最高神よりも強くグレースの他に転移門ゲートを使える存在なのだ。



超魔王とは魔王を配下とする大魔王を配下とするまさに伝説の存在、ヴェルナータは元々現世の出身だが強すぎるが故に修羅の最高神により修羅の世界に飛ばされた、そこでも圧倒的に強く最高神の対をなす存在として魔の頂点に君臨する、が絶対神と最高神に封印された。



はずの最古の超魔王ヴェルナータの消息が不明、可能性としては現世に来ている可能性が高い。

一方エミールは魔王というフレーズにおびえているようだ。




そんな話をしていると、王女との謁見の間に到着した。


扉が開くと豪華な空間が広がっている、中央の扉から敷かれている黄金の刺繡が施されているシンクの絨毯はこの国の財力を表しているかのようだった。

中央まで進むとエミールは女王に膝を付き敬意を表した。


だが、グレースとフレイヤは膝をつかない。


それを見た女王の護衛はそれを不敬と思ったのは言うまでもない。


「無礼者!ここは女王の御前であるぞ!」


だが兵士の言葉はグレースには届いていなかった、グレースは考え事をしていたからである。

女王が幼かったからである、威厳は確かにあるのかもしれない、だが例えるなら『金髪ツインクリクリロール」にフリフリのドレス、女王というよりお嬢という肩書がふさわしいだろう。



敬意を示さないグレースに護衛の兵士が不届き者を捕えようと、武器を構え近づいてくる。

すると、兵士たちの動きはぴたりと止まってしまいグレースに敬意を表した。

状況を理解できていないエミールと王女いやお嬢、そして護衛の兵士たち。

グレースの固有能力『覇王の威光オーバーロード』の効果である。効果は自身よりステータスの劣る者の精神と肉体を支配するというもの、フレイヤとエミールとお嬢は効果を発動されなかっただけであり、護衛の兵士たちはそれになすすべもなく支配されてしまった。

そしてグレースは本題を話し始めた。


「明日、この国を攻める、人員的被害や建物による被害は出さないようにする。攻めるのは俺一人」。


大臣や貴族たちはざわめいていた。


「わかった、こちらが勝ったらお前は私の奴隷になってもらうぞ?国に喧嘩を売ったんだそのくらいの覚悟はあったのだろう?」


王女はにやにやしながら言ったそれはきっと自信を持っていたからだろう。


「いいだろう、その代わり俺が勝ったらこの国の権力をもらう」


グレースが要求した内容に衝撃を受ける大臣や貴族たち、



だが王女には余裕があった。



王国最強といわれた剣姫や四騎士といわれる世界にさえ知れ渡っているその実力者がいるからだ。

王国は国の領土があまり大きくないものの人材の良さで帝国や西法国にも引けをとらない力を有している。


そして冒険者ギルドに所属している勇者正宗といわれる人物の存在だろう、正宗はどんなモンスターでも一撃で屠るといわれている、神によって転生しチート能力を持ってこの世界に来た日本人だろう。

この情報はすべてフレイヤに聞いたものだ。完璧な従者といえるだろう。

強者がいるという余裕が態度に出てしまうのは当然だろう、しかもそれをすべて一人で相手にすると言うのだから。


「場所はどうする?東の荒野でやるとしようか」


お嬢はそう言ってきた、だが荒野ではこの城の防衛技術が意味を成さない。フレイヤの情報によるとこの城は先代の王グラス・ノエルが娘を守るために大金をつぎ込み作った鉄壁とされ無敗を誇る城。

それを完膚なきまでに攻略してやるのがグレースの作戦だった。



「そうするならば、一つ提案がある、俺がこの城を完全にコピーして荒野に建設してやる、そこに陣を布いて俺に勝って見せろ」



一同は唖然としている、それもそうだろう何年もかけ鉄壁を誇る城を作るといっているからだ。

「そうかなら日取りはどうする、そんな大掛かりなら日にちを伸ばしてもいいぞ?」

王女は同様しながらも提案してきた。だがグレースにとっては造作もないことでしかないからだ。

グレースのスキル『虚無錬金』このスキルは最高神から奪ったスキルの一つで無から物質を作ることができる、それにスキル『空間支配グラス』の地形把握を併用すれば城の再現など簡単なことだろう。



「日取りは予定どうり明日だ、明日の正午に侵攻を開始するからそれまでに入城し戦闘準備を済ませておけ、そうだ、正宗もちゃんと呼んでおけよ」



グレースはそういうと謁見の間を後にした。

女王は慌てていた、正宗の存在を知っていて喧嘩を売ってきたことだ、だが負けるわけにはいかなかった。



「王国の最大戦力で戦闘をする!冒険者には敵を倒した奴には一生遊んで暮らせる額を提示せよ!王国の威信にかけてこの戦い必ず勝つぞ!」


王女が激励すると大臣や貴族たちは平伏しそれぞれの領地に向かった。




グレースは亜空間で城の複製を行い荒野に出現させた。

そしてその夜は亜空間でフレイヤにこの世界の情勢を詳しく聞き眠りについた。




名前:豊麗神 フレイヤ

Lv:9200

称号:豊麗神

HP:93493264

MP:13976212

ATK:16053969

DEF:15506768

INT:15785121

RES:15670345

SPD:15761973

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