第9話 クリスマス会

職場は、20代が多く働いていた。

独身の人も多かった。

職場恋愛の噂も、聞こえることもあった。



先輩の女性宅で、クリスマス会が開かれることになった。

やよいちゃんと、わたしも招待された。

女性4人、男性2人。

ぼんやりとした記憶しかないが、ケーキ、からあげ、ジュースなど出された。

若者たちが、集まり、おしゃべりする。

わたしは、男性が入ると、口数が少なくなった。



先輩の女性は、お酒も入っていないはずなのに積極的だった。

私たちと一緒に入った同期の男の子に、アプローチしてた。

男の子もまた、田舎からでてきて、函館で一人暮らしをしていた。

ちょっとしたイケメンだった。

でも、彼女がいた。



クリスマスプレゼントを、各自で用意した。

あみだくじで、決めた。

わたしが、イケメン君の持ってきたプレゼントを、受け取った。

すると、先輩女性は、ものすごい形相になった。


(これは、嫉妬だ!)瞬間におもった。

もちろん、彼女にプレゼントをゆずった。


楽しい時間は、終了。



だが、のちに、先輩はイケメン君を、彼女から奪い取ったのだ。


自分に正直な女性だった。

ある意味、うらやましい人だった。


女の人が、攻撃していく恋愛を、私は初めて見た。

夢もこうやって、叶えるものだ、と、感心した。



ところで、お店の中で、一番人気は、青果部担当のナカさんと呼ばれる若い男性。


わたしは、高校の時からこの人を知っていた。

アルバイト時代から、女子高生から人気があった。

わたしの友達も彼の、大ファンだった。

ほんわかした性格にみえて、ちょっとワルな、ミステリアスな男性だった。

優しい声のひとだった。


バレンタインディには、彼に渡すために、ブティツクで靴下を買った。

わたしも、選ぶのにつきあった。

友達は、手渡すも失恋。

と、いうか、渡しただけだった。


そんなアイドルと、働けるとは、思わなかった。



だが、驚いたことに、彼はやよいちゃんの彼氏になった。



いつ、どういう、展開で?そうなったのかは?わからない。

クリスマス会が終わったあたり?雪が降ったころ?

なにも、やよいちゃんからは、詳しく聞かなかったけど、いつのまにか、二人はつきあうことになった。



彼からの告白だと思う。



友達というのは、彼氏ができたら、遠慮するもの。

なんて、わたしのなかでの、ルールがあった。

いままでのようでは、いけないのだ。


大変なことが、突如、おきた。


ガールフレンズは、一時停止。

距離をおくことにした



このころ、中学時代の友達と、会う機会が増えた。

彼女は、また、かっこいい女性になっていた。

ベイエリアの喫茶店、本町の隠れバー、スキー、クラブ。

やよいちゃんと、外で見るだけの、おしゃれなバーやお店に、怖がらずに入るひとだった。


クールで頭の良いガールフレンズ。




クリスマスイブ、やよいちゃんは、彼の外車に乗ってた。

バス停で待つ、わたしを追いかけた。

送ってくれようと、してたのだ。

バスで帰るわたしを知ってた。

でも、わたしは、ふたりの間には入りたくなかった。


ごめんね、逃げちゃって。

わたしの中のルールでは、彼氏、彼女のなかに、入っちゃだめなの。

粉雪が舞う、街灯の下。

雪を漕いで走った。


追いかけないでね。

私の中のルールでは、カップルと3人で車に乗るのはありえない。

あの時はごめんね。



やよいちゃんに、サンタクロースがきただけ。

寂しくない。

そう思うことにした。


部屋で、キャンドルをつける日が増えた。

ときどき、何も考えないで、家と家の間からみえる、函館山の頂上の明かりをみた。このまま、ここにいるのは、良くないと思った。



仕事を変えようと思った。



        







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