第4話 Dive K

「湖に飛び込め!K!」


 そんな怒鳴り声が響く。ここは空の中。バンジーでもなく命綱もない。パラシュートもなくなった、すぐに撃ち抜かれてしまう。気の迷いで飛び降りたようなものだ。Kが向かう先のは森と湖。木々や水の中だってこの高さではほとんど凶器になってしまう。もう一か八か、命が助かる確率にかけているだけだ。


 怒鳴った相手は眼下に落ちていく部下を見続けることはできずに、撃ち落とされる。撃ち落とした相手は、人が飛び降りた当たりで銃を乱射しようとして、止められた。


「この高さから落ちて生きていても、じきに夜になって死ぬだろう、弾の無駄だ」


「そうだな」



 引き返した戦闘機は、ヒョイッと大きな手に持ち上げられる。ぶんっと投げられ世界の終わりのような高い壁にぶち当たる。嬉しそうな声がするが、おもちゃの戦闘機と兵隊は悲鳴を上げる。飛び降りた一人は森の中、枝に引っかかっている。


 よくできたミニチュアに子どもがやってきたのだ。子どもの目線は低く、ちょうど引っかかって助かった風の男をつまみ上げる。


「こら!勝手に入るな!!」


「えー!」



 そんな怒鳴り声が響く。今度は子どもがひょいっと担がれ部屋を出ていった。父親だけ戻ってくると壊れた戦闘機とつままれた男を直す。


「湖に落ちる方にしようかな」



 岩につかまり必死に水から上がるような姿勢になる。


「没頭するのもいい加減にして!!部屋にこもってばかりで!」


「ひえっ」



 そんな怒鳴り声が響く。

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