第5話 Dark K
えー2月の行事といえば節分とバレンタインですが。とある町、いや地方も名前もどこかわかりません。それに2月なら何日でもいいんです。ただピーナッツチョコを食べる。豆まきもチョコ交換もするなという変わった風習がありまして。ええ、意味わからないですね。一応理由はあるようですよ。
ひどい。もっと別々に楽しみたい。オニのお面かぶって福は内と鬼は外と言いたい。手作りチョコ渡して告白したい。この町では禁止です。ああ告白だけなら好きにやってよろしいですが、チョコを使った告白が禁止です。豆も鳩にあげたっていいです。ただ2月はダメなんです。
昔々、いやちょっとだけ昔、Kという男がいたんです。こいつが食べるのが好きで、いつかの2月に街中の豆とチョコを食べ歩いた。あんまりKが食べるもんだから町の人はしだいにKに隠れて行事をするようになった。Kも面白くないから鬼役をやると言ったんです。芝居なんだから子どもから豆食らったら逃げなきゃない。だけどKは違った。逃げるどころか追いかけて豆を食った。町の人は必死に行事を守ろうとした。バレンタインもKはチョコの匂いだけで隠した場所がわかる。食い荒らされる。
Kはすっかりひねくれて、町の人も2月行事を禁じた。その名残と言われている。同じ理由で芋煮会やクリスマスも禁じていたが、彼の死後も残ったのが2月。彼が鬼として出てくるとか告白をジャマするなんて噂が流れたせいだとか。
そんなばかな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます