第16話 取材にまつわる内部規定


 今回は取材に関する内部規定について。


 ジェニーさんとエクセルさんとオバ・ハーンとの間で、仕事を持ちながらPTA活動するにあたり、お互いに約束したことがある。

 お互いに、忌憚なく意見が言えるように相談しようね。


 だから、前期は割合ヒマなオバ・ハーンがほぼフルタイムで働く二人のカバーに入ることができた。もちろん、二人は仕事の合間に取材をしたし、急な取材の対応もしてきた。

 けれど、二人は学校まで1時間半はかかる。往復3時間。そして取材時間は1時間。いや、1時間もあればよい方だ。下手をしたら、締め出されて取材時間は20分ということもある。対するオバ・ハーンは1時間半あれば往復できる距離だ。フットワークの軽い方、しかも都合のつきやすいフリー(割と専業主婦)のオバ・ハーンが取材に出向くことになる。


 けれど、後期のオバ・ハーンは違った。


 オバ・ハーンは中年である。当然ながら、それなりの年になれば、更年期障害が起き、眼鏡が合わなくなったりする。PC仕事が続けば、肩や体がバッキバキになって、ついには日常生活に支障が出るようになってしまったのだ。

 もちろん、オジ・ハーンやムスメ・ハーンのサポートはあるが、それだけでは追いつかない。

 恐るべし、学内広報誌。


 そういうわけで、取材が増える後期は、ジェニーさんとエクセルさんにも、今までよりも少し多く取材に出てほしいとオバ・ハーンはお願いした。

 何でかって?


 大本営発表、取材におけるお約束

「取材するときには必ず広報部部長もしくは副部長の立ち合いが必要である」


 という、一文がある。

 つまり、部員が一人で取材する、ということは許されないのだ。部員一人と部長、もしくは部員一人と副部長という二人組体制が「部員取材」の条件となり、「一取材につき、部長か副部長同伴」ということになる。


 同伴喫茶か(年がばれる)


「うちの部員は品行方正なのに」

 エクセルさんが、こめかみをピクピクさせながら言ったことがあった。手には「取材許可申請書」(却下済み)持って。

 どうしても、三人の予定が合わなくて、ジェニーさんの立ち合いなら最後の30分は立会いできそうなんですけどだめですか? と遠慮しながら出した申請書の回答。


 広報部が取材できるのは冒頭の20分のみです。

 部員の方のみの取材は受け付けておりません。したがって、取材要請は却下します。

 ただし、この行事に出席なさる保護者の方が撮影することに関しては、全時間の許可を出していますので、その方から写真を借りてください。


 エクセルさんの「かっちーーーーん!」を刺激したその行事に関しては、行事終了後すぐに、保護者情報網(通称スパイ)の協力において写真が手に入り、記事が掲載されたのである。


 おそるべし、ネットワークである。

 内部規定とは何ぞや、を軽く超えてくる。


以上



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