sept
バターがぬられたパンを口に運んでいると、その横にンバマリナが座った。コーヒーからは湯気がたゆたっている。この仲間の厚い
「そろそろ止した方がいいぜ。隊長にバレそうだ」
どうしようもない。自分の処遇より優先されるべきなのは、少女の寂しさを埋めることだ。
「こうしたことに関しては上も厳しくなるぜ。ただでさえ不祥事が続いているんだからな」
ンバマリナは芝居がかった声を出していた。
彼はきっと、アバンダに言わされているのだ。アイツを止めろと。自分のところの隊員が立て続けに不祥事を起こしたら、アバンダの面目がたたない――ジャリマナはンバマリナの昇級への欲求を知っていた。
内戦後、同じく貧苦にあえいだ仲間として、ジャリマナにはその気持ちがわからなくもなかった。
しかし昇級をしたからといって、軍そのものの共通の理念だとか目的だとか、任務の内容が変わるわけではない。
そもそも、正義には、階級も、経済もない。
「だからさ、お前も処分されるまえに止めてしまえ。俺はお前がしていることを全て知っているわけではないし、決してなにかを疑っているわけでもない。ただ、仲間だからさ、
なにより、正義には、友情がない。
味方の敵は敵である、みたいな発想を超越し、敵を愛し、敵を愛するためには、味方を敵にし、その敵にした味方でさえ愛し……正義は、動く、浮遊する、絶え間なく。
ジャリマナは少女を――反政府武装勢力の隠れ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます