quatre

 ジャリマナは、消え失せそうな電灯が照らす廊下を歩いていた。駐屯地での事務的な仕事を終えたばかりだった。


 昼食をとりに食堂に入った。長い机が何脚も並べてあり、迷彩服姿の同僚が思い思いの形で食事をしていた。しかしだれも陽気に笑っていなかった。


 食堂の端にある銀色のスタンドに収められている新聞を手に取ったジャリマナは、それをわきはさんで窓側の席を選んだ。少し土のついたガラスの向こうには、隊員たちの寮がどっしりと鎮座ちんざしているのが見えた。


 ジャリマナは記事を見て、同時にこれだけの問題が地球に生起するのはなぜなのかと思い、ためいきをついた。しかしそれは、だれかにに過ぎなかった。


 地球に迫る巨大隕石を観測するのが先か、人間それ自身が地球を解体してしまうのが先か。


 ジャリマナは一粒も一片も残さず食事を終えると、新聞を折りたたんでスタンドに戻し、思いっきり背伸びをしてみた。


 目の前の命を救うことだけに専念すればいい。余計なことは考えなくていい。改めて気を引き締めて、ジャリマナは更衣室へと入っていった。


 数十分後、ジャリマナは銃をたずさえて任務へとおもむいた。

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