第8話 月光夜
夜道に街灯の少ないところを選ぶ。最近は日本も少し物騒になってきて、治安の少し悪いところも増えてきた気がする。
こんな風に夜道を考えに耽りながら歩く人も少なくなってしまうのかな、とふと思う。
満月の皆既月食の日はとうに過ぎて、月に関心が低くなっている気がするが、私は毎夜月を見上げて探す。
低いところにあればなかなか、マンションの影などに隠れてしまって見つけられないこともあるし、黒い雲なんかに隠れてしまえば全くその光は届くこともないが、それでも時間をかけて月を探す。私の日課なのかもしれない。
月はいい。静かな秋の虫の音を聞きながら、星々の形作る模様を見るのもいいが、月の形を見るのがいい。
遥か彼方からの太陽の光を反射させ、太陽みたいにギラギラすることもなく、優しく我々を包み込んでくれるのは月光でなくしてなんだろうか。
地球に迫り来る隕石の破片のほとんどは月が吸い付けて身代わりになってくれているそうな。それでいて、いつも隣に居てくれているような安心感をくれる。我々はもっと月を大事にせねばなるまいて。
今日の月は黄金のメロンだった。
私はメロンが好きだから、黄金のメロンといったのである。とても美味しそうな月だった。
とかく忙しく、心遣いに疲れてしまう日もあると思うけれども、そんな時はゆっくり月を眺めよう。
我々の子どもであり、兄弟であり、親であり、友達である、あの月の輝きをあなたに伝えたくて書いたのである。
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