第6話 月は語り部
5月の中程だっただろうか。
ふと、「月は語り部だな」と思った。
月を見る時私たちは顔を上げる。この頃、太陽は少しギラつくけれど、月は優しく微笑んでくれる。お母さん。そんな気持ちにさせてくれる。
「あなたが悩んでいることを全部話してくださいな。私はじっと聞いてます」
月が丸い淡い光を放って、優しくそう語りかけてくれる。私は色んなことを喋った。
病気のこと、娘の心配、父のこと、不仲な兄のこと、妻の体調不良のこと。色々だ。
月はその間、優しい光で包んでくれながら、「そうなの」「大変ね」「辛いね」と相槌を打ちながら、それでも微笑みかけてくれた。じっと耳を傾けてくれる存在。現代社会において、そんな人と出会えることはなかなかないことで、それはとても有難いことなのである。でも、誰しもに月は微笑みかけてくれる。
そして、「私はこうして夜の間だけれどもあなたのことをずっと見守っています」「あなたの家族のことをずっと見守っています」「あなたの将来のことをずっと照らしていきます」
そう、言わんばかりに暗闇の一筋の光明として、凛としてそこに居てくれている。
私は月を見るとほっとする。
「ああ、今日も綺麗な月が出ている。私は幸せだ」そう思う。
現代社会は日常生活で心身ともに疲れることが多くなっていると思う。過去を悔いたり、未来を嘆いたりすることも多いと思う。
世情は緊迫していて、明日どうなるか分からない不確実な要素が沢山ある。
でも月は凛として私たちに語りかけてくれていて、私たちの話をずっと聞いてくれている。
月を見ると語り部になるのは私だけでは無いはずだ。
行き詰まった時ふと見上げる月に、勇気と希望を貰うことは多い。
日常生活で煩わしいことがあった時は是非夜空を見上げて欲しい。
月が出ていたら、そっと見上げて、心の中で月に向かって語りかけて欲しい。
月は全てを聞いてくれてる。
現代社会は街灯の多い社会で、しかして、無機質な光だ。
ただ、月の光は心を刺激する。温めてくれる。
あなたの未来が明るくなりますように。
月はそう祈ってくれているのだ。
私はだから今を生きることを決意する。
苦しくなったら月を見る。
是非とも参考にしてもらいたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます