第4話 ナメクジ
空が青い日が日本人にとってはいい日なのだろうか。
先日の雨模様の日に玄関先でふとナメクジを見つけた。にょーっというように伸びていくその体には粘液を纏わせている。私は「雨だからこうやって表に出てきたというわけか」と独りごちている。
そういえば子どもの頃、私は保育園に通っていたのだが、多分に漏れず虫などの小さな動物たちが好きだった。
そういう動物たちはよく子どものサイズには大きな石の下に隠れているもので、ひっくり返しては色々な虫を見つけていたと思う。
ダンゴムシやナメクジ、ゲラやミミズなどがそれだった。ハサミムシなんかもいて、しょっちゅう怪我していたように思う。
懐かしい話だ。
私は病気を患ってからなかなか思うように行動できないことが多くなってしまった。
一生懸命頑張るとどうしても疲れて、次の日動けなかったりするのだ。
そう思いながらナメクジを見返すとどこかに消えていた。ナメクジはとろい。遅いのだ。しかし消えていたのだ。私はハッとした。
人生もまたナメクジでいいのだ。他人を見れば驚くほどのスピードで人を追い抜いていく人がいる。
私はそれに憧れを抱く。何もかも思い描いたように進めて行ける人にただ羨ましく思い、嫉妬すらしてしまう。
しかし、ナメクジは我関せずだ。
彼らは彼らなりに一生懸命自分の生を謳歌しているのだ。早さでは無い。
けたたましい勢いで人を歯車のように扱うような社会になんて我関せずと凛として。
私はナメクジのようにゆっくり私の道を今日も歩こう。
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