第2話

狼を倒してからどれくらい経ったのだろうか。

俺は薄暗くなった裏庭で目を覚ました。


何故か狼に噛まれた肩の傷が無くなっているが、服には噛まれた跡や血がついている。

傷は無いのに噛まれた部分が痛む。


「あの狼が石になったんだよな」


俺が虹色の石を持つと《スキル『ネット』を獲得できます。獲得しますか?Y/N》という声が聞こえてくる


なんだこれ。

よくアニメや漫画で出てくるスキルオーブみたいなものか?


「Yes」


俺がそう呟く。


《スキル『ネット』を取得しました。》


なんだよネットってと思いながらも試しに使ってみる。

目の前にネット通販のような画面が出てくる。

食料品から衣服、そして普通の通販では買えない武器が売っていた。


腹が減ったのでメロンパンを購入しようするが、『残高不足です。入金してください。』と表示される。


小説と違って無料じゃないのかそうだよな。

少し残念だが財布は持ってきた。


俺は財布に入っている全財産、いや正確には手元にある全財産4万5273円をネットにつぎ込む。

つぎ込んだ途端画面に購入完了という文字が出てきた。

文字が出ると次に画面からゆっくりメロンパンが出てくる。

例えるならレシートが出てくるみたいに出てきた。


「買えた···············食べるか」


買えたことに驚きつつもお腹がすいているのでメロンパンを食べる。


にゃー


何処からか猫の鳴き声が聞こえてくる。

俺が辺りを見渡すと家の塀の上から猫が降りてきた。


にゃーと鳴き俺に頭を擦りつけながら喉を鳴らす。


「何こいつ可愛い」


多分今の俺の顔はだらし無くなっていると思う、でも仕方ないだろ。

野良だと思うけどその白い毛並みはさらさらですごく気持ちいい。

そして何よりめちゃくちゃ可愛い。


俺はネットを使い、猫用のドライフードを買ってあげる。ついでに紙皿も買うか。


紙皿にドライフードを入れてあげると猫はすぐにご飯に夢中になる。


必死に食べる姿を見ている訳なんだがすごく可愛い。

見てるだけで癒される。


《HPが10%未満です》


《経験値が一定に達しました。スキル『痛覚軽減』を獲得しました》


「―――!?」


なんでだよ!?傷はないならHPは減らないだろ!?


ネットを使いなにかないかと探すとポーションが出てきた。


ポーション(小)値段が1,000円

ポーション(中)値段が10,000円

ポーション(大)値段が1,000,000円


試しにポーション(中)を買って中身を飲み干す。

飲み干すと次第に痛みが消えていき、先程まであった肩の痛みが和らぐ。


「すげぇな」


そんな感想しか出てこなかった

今日は疲れた、もう寝るか。

周辺の確認はまた明日にしよう。


俺が立ち上がると猫も立ち上がり後ろを着いてくる。


「なんだ一緒に来るか?」


俺がそう聞くと言葉がわかっているかのようににゃーんと鳴く。


猫を抱き抱えて家の中に入る

結局外に出て何も出来なかったな··········明日がんばろう、そうしよう。





《初の固有スキル保持者が確認されました》


《ザザーーザーーーーーピコン》


《受理されました。固有スキル『努力家』を取得します》


《適応度14%スリープモードへと移行します》


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