第39話 月曜日




さほちゃんに告白されて僕は本当に嬉しかった。こんな自分を好きになってくれる人がいることを知れて本当に嬉しかった。でも、さほちゃんの告白に対する答えはあっさりと出すことが出来た。ゆめみん先輩を諦めてさほちゃんと付き合うという選択肢もあっただろう。


たぶん、さほちゃんもそれを望んで告白してくれたのだろう。でも、ゆめみん先輩を諦めるなんて選択肢は僕にはなかった。僕の恋は叶わない。きっとそうなのだろう。ゆめみん先輩は僕のことを嫌いだが僕はゆめみん先輩のことが好き。大好き。現在の関係は僕としてはかなりきついものだった。できるものなら諦めたい。


でも、心の中でもしかしたら…という感情が邪魔をしに来る。ゆめみん先輩のことを諦めようとする度に…だから、どこかで区切りをつけなければならない。たぶん、このまま何もしなかったら僕はゆめみん先輩のことをずっと好きでい続けるだろう。無理だと自分でもわかっている恋をし続けてしまうだろう。だから、どこかでゆめみん先輩のことを諦めないといけないのかもしれない…このままの関係がずっと続くのは辛いから…



翌日、月曜日、僕は朝からホールに向かった。僕がホールに到着すると鍵は既に開いていたので僕はホールの中に入る。そして舞台下手に荷物を置く。すると楽器庫へと繋がる倉庫からゆめみん先輩がチューバを持ってやって来た。僕はゆめみん先輩が通りやすいようにゆめみん先輩の通路にあった椅子をどかしドアを抑える。


「ゆめみん先輩、おはようございます」

「おはよう。ありがとう」


ゆめみん先輩はそう言いながら僕の横を通り舞台に向かっていく。僕もチューバを取り出して舞台に向かった。


そしてそれぞれで音出しをして少ししたら二人で基礎練習をする。毎週月曜日の午前中は決まってこれをしていた。そして基礎練習が終わるとチューニングを行い曲の練習をする。今日は合宿の二日目に早川さんに二人で合わせておくようにと言われた場所を練習する約束をしていた。


二人で一緒に同じところを何度も吹き音を合わせていく。そして、僕が合宿の時に出来なかったところが出来るようになるまでゆめみん先輩は練習に付き合ってくれた。そしてあっという間に一限の時間が終わる。


一限が終わると僕は楽器を片付けて二限の授業に向かう。ホールにはゆめみん先輩とトロンボーンパートのいーくんさんだけになる。一限の時間、いーくんさんはホールのホワイエで一人で練習をしており、二限の時間になると同じトロンボーンパートの涼葉先輩がやって来るので涼葉先輩と一緒に練習をしているみたいだ。二限の時間、ゆめみん先輩は一人で練習していて、二限が終わった後のお昼の時間は僕とゆめみん先輩、いーくんさん、涼葉先輩の四人で一緒に昼食を食べるのが月曜日の過ごし方だった。


僕は楽器を片付けた後、ゆめみん先輩にお礼を言い急いで二限の教室に向かう。そして二限の授業が終わるとさっさとホールに戻る。






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夢海の景色 りゅう @cu180401

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