第29話 休憩



お互い全く口を開かないまま休憩時間は過ぎていった。あと三分休憩時間があるのにかなり気まずい。


「ゆめみん先輩、最近僕吹奏楽の曲を聴くのにハマってるんですけどおすすめの曲とかってないですか?」


沈黙に耐えきれなくなった僕は口を開く。


「え、おすすめの曲?うーん、私が好きなのは『序曲祝典』とか、『プロヴァンスの風』とかあとは『宝島』とかかな…」

「『宝島』ですか〜いい曲ですよね。ゆめみん先輩は『宝島』吹いたこととかあるんですか?」

「高校の時にやったことあるよ」

「えー、羨ましいです」


『宝島』、吹奏楽をやる者なら一度はやってみたいと思う曲だろう。途中のサックスがめちゃくちゃかっこいい曲だ。


「定期演奏会でやりたい曲の候補に挙げてみたら?」

「はい!絶対候補に挙げます」

「サックスのソロ、バリサクが吹いてるやつあるからそれは聴いてみて欲しい!」

「あ、聴いたことあります。めっちゃかっこいいですよね」

「うん。めっちゃかっこいいと思う。りょうちゃんは好きな曲とかやってみたい曲あるの?」

「えっと、『青葉の街で』と『情熱大陸』、『イーストコーストの風景』とかやってみたいです」

「『青葉の街で』好きなんだ〜私、昔コンクールで吹いたことあるよ」

「え〜羨ましいです」


そのあとしばらくの間ゆめみん先輩と好きな曲の話をした。ゆめみん先輩の好きな曲と僕が好きな曲で被っている曲があった時は話題が弾んだ。


「あ、もうこんな時間だしそろそろ練習再開しよう」


ゆめみん先輩と好きな曲の話題で意外と盛り上がってついつい二人で話し込んでしまった。


「あ、本当ですね。お願いします」


時計を見ると本来練習を再開する予定だった時間を十分程超えてしまっていた。僕とゆめみん先輩は慌ててチューバを持って練習を再開する。





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