第4話 未知のダンジョン
【1】
「今、なんて……」
メアと名乗った獣人の少女はもう一度口を開くとゆっくりと言葉を吐き出した
「私は世界樹の鍵がどこに配置されているか分かるんだ」
──世界樹の鍵。世界樹のダンジョンは合計30層に及ぶ巨大ダンジョン、さらに5層毎に鍵が必要となれば攻略できるのがいつになるか予想もつかない
しかし、それは鍵がどのダンジョンにあるかが分からないからであり。鍵がどのダンジョンに配置されているか分かっていれば……
「それが本当なら世界樹を、攻略できる」
5層毎に1つの鍵が必要なら合計6つ必要になる
「教えてくれメア、鍵はどこにある?」
メアは休憩エリアを見渡して、下見る。そしてルイを見た
──その視線が本当なら鍵は
「このダンジョンにある」
その声は誰もいなくなった休憩エリアの部屋にすぐに溶けていった
「待てよ、このダンジョンは3層までしかなくて既に攻略済みなんだぞ」
そう言うが目の前の少女は気にした様子もなく立ち上がる。服についたホコリを手で払い落としルイへ体を向けた
「──私も、世界樹のダンジョンを攻略したい。理由はキミとは違うけど」
幻想を夢みるダンジョンか、あるいは幻想を謳うキミとの物語か
彼女はそう言った
【2】
メアについてきてと言われ歩くこと20分
アインと呼ばれる森のダンジョン第1層に入ってからモンスターとは出会っていない
既に時刻は夕方を過ぎており大抵の冒険者は休憩エリアか宿屋に戻っている時間帯だ
茂った木の枝が次第に多くなり絡まった大木のせいで思ったように前に進めない
歩き始めてそれなりの時間も経ったのに未だに目的の場所が見つからないようだ。現在メアとルイは第2層へ続く門とは正反対の道を歩んでいた
「──ここだね」
正直疲れてしまったと思っていた瞬間彼女の言葉が聞こえ思わず安堵の息をもらす
「ここって、なにも……」
いま立っている周りには門らしきものはどこにもなかった。見えるのは変わらず絡まった大木や茂った木の枝ばかり、本当にこんなとこに鍵があるのだろうか
「恐らくこの辺に下へ降りる穴があるはずだ」
そう言って地面に手を付き色んなところを触りながら移動していた
だがしかし、この森ダンジョンには下の階というものは存在していない。あるのは上へ行く為の階層のみ
ガサッという音とともに絡まった大木同士が下に落ちた。そこには茂った木の枝が円になるように置かれていた
「あったね、おそらくここから先は未知のエリア──未知のダンジョン」
茂った木の枝を掻き分けながら穴へ近づく。そっと中を覗き込むが中は暗く何があるのか分からなかった
ただ、一言で表すならこの未知のダンジョンはかなり危険である。そう思えてならない
「俺は行く、本当に鍵があるんなら何をしてでも。世界樹のダンジョンを攻略するために」
バッと跳躍して一気に穴の中へ落ちる。暗いが所々明かりが上からもれており中の様子はなんとなく分かった
床は森とはかけ離れたコンクリートのようなもので出来ており気配察知にも反応がないため近くにモンスターもいないようだ
意を決してそのまま前へ進む。瓦礫が所々に置かれておりどれも綺麗に砕かれていた
「──ッ、何かいる!?」
気配察知に反応していなかったため少し気を緩めていたため目の前にいるモンスターに気づかなかった
「これは……ゴーレム?」
巨大な岩石の体に白く光る眼、その先には扉があった。おそらくはその扉から先に行かせないために作られたゴーレムなのだろう
「まだ気づいてないのか? それなら今のうちに仕留める。『インパクト』──そして『魔力操作』ッ! 『マグナム』」
インパクトを凝縮し魔力弾として放つ魔法を新しくマグナムという魔法に変化させた
ルイの手から放たれたマグナムはそのままゴーレムの心臓部へ当たり──
「嘘だろ──!?」
何事もないように跳ね返したのだ
そしてゴーレムは攻撃されたことでようやくルイを認知したようでゆっくりと体を動かす
「硬すぎるだろこのゴーレム」
もはや打つ手が無くなりどうしたらいいのか分からなくなり意味がないと知りながらもインパクトやマグナムを何度も放った
しかしそれも全て跳ね返したゴーレムはとうとうルイの目の前までやってきた。右腕を広く振りかぶりゴーレムからしたら小さな体を吹き飛ばした
「ぐふっ、が、はっ」
壁に叩きつけられたルイはすぐにヒールを使い体を癒す。そうしてるうちにもゴーレムはどんどん近づいてくる
「イメージ、イメージだ。何か、なにかあのゴーレムを倒せる方法は……!」
残りの距離が30メートルになり思うように考えることもできなくなったルイはがむしゃらにマグナムを放った
ガクン、と
ふいにゴーレムが片膝をついて倒れようとした。いままでマグナムを全て跳ね返してきたゴーレムが1発のみ跳ね返せずに直接当たったようだ
「──もしかして!」
ルイはそのもしかしてを確かめるためにもう片方の足──膝を狙いマグナムを放った
ガクン、と
今度は両膝を地面につきゴーレムはバランスを崩した
「ゴーレムは全身が硬いが関節部分が弱いのか……、それなら勝てる」
足を封じこみゴーレムに近づき腕の関節部分にもマグナムを撃ち込む
そして全ての関節部分をマグナムで撃ち込んだがゴーレムは未だに倒れなかった
「『ライトニングソード』」
目の前でスパッと
それはもうスパッと、綺麗に頭部がスライスされたゴーレムが全身の力を無くして倒れていった。声のする方に首を傾けてみるとメアがこちらに向け駆け出していたとこだった
「──メア!? どうしてここに」
メアは困ったふうに頬を掻き、倒れているゴーレムの向こう側。おそらくはボス部屋の扉だろう、そちらを見ながら軽く微笑んだ
「世界樹を攻略したい、一緒に来てくれと誘ったのはキミでしょ? それに私も戦える。
私はキミを守るからキミは私を守って」
それなら最強だからと笑顔で言い放った
「分かった、俺はお前を守る」
「キミは私が守る」
2人は同時に頷くとそのまま歩いて扉を押した
「グルルルルルルル……」
開けた先に待ち受けていたのは
「
紫の体躯に漆黒の翼
口からは赤紫の液体が垂れており白銀の瞳は真っ直ぐにこちらを見据えている
「俺はもう無能なんかじゃない、毒龍を倒して俺は強くなる」
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こんばんは、めるです
次話は毒龍編後編です
誤字脱字があればまた編集します
そしてお礼を。4話を読んでくださりありがとうございます。もし良ければレビュー、作品のフォローをお願いします。
エピソードに応援やコメントもお待ちしております。それではまた5話でお会いしましょう
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