第2話
ゆっくり探したいのに、男性なのだろうが、女性のような仕草をする店員は後ろから、「どんな肌触りがいいですかね」
無視するような素振りを見せるも、全く臆する様子もなく、話しかけてくる。
私が休日だったので、課長から買ってくるように頼まれた。断りたかったが、お金を渡され、こちらの有無さえ、判断させてもらえなかった。
退職する同僚に社内の人間で、渡したいから買ってきてほしいと頼まれていていた。休日にどうでもいい人のモノを買いに行かないといけないのだろう。
家で調べた商品をコピーしたものがあった。
それを相手に見せれば済むのに、自ら探したくなる。どう聞けばいいのかが、分からないのもあるが、付いてくる店員に聞くことがどうしても、嫌なのだ。
「どんながものがいいですかね」
店内の商品が、目に映るたびに、記憶から消えてくる。この店員の言葉で、何も入ってこない。棚に並ばれている商品が、見ているようで、見えていない。
カウンターのようなところに着くと、そこに、『ネット注文受付』と書かれていた。そういえば、この商品もネットで注文しておけば、ここで受け取るだけで済んだのではないのか。
何とも言えないため息が、出てしまう。どこかアナログな自分に反吐が出てくる。ネット注文なんていう発想はないがほしかった。そうすれば、あそこで、商品が受け取れたのに。
後ろを振りむいて、ついてくる店員に、「この商品は、どこにありますか」と聞くと、「これより、いい素材のタオルがありますよ。こちらです」と意図が通じていない。
「もういいです。自分で探します」
相手のペースに巻き込まれそうになってしまう。「大丈夫ですよ。本当に、良い商品なので」
ダメだ。伝わっていない。
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