第10話 なんで使えるのか?

俺たちは、街の外に出て来た。理由は、スキルを使うため。スキルは普通、15歳のときに成人の儀式のみで知ることが出来る。が、俺とミオネは母さんがパクって来た儀式に用いられる水晶により知っていた。


「ミーナ、これからすることは他言無用だぞ?疑問には後で答えてやるから」


「何をするのか分からないけど、わかったわ」


ミーナは、そう言うと大きく深呼吸をしてお願いと呟いた。ミオネは、ウキウキした顔で岩に座りこちらを見ている。


「んじゃ〜始めるぞ。【異界伝承】」


目を瞑りスキルを発動させる。身体中に魔力が駆け巡る。周りの魔素が黄金の輝きを放つ。そして、大地が胎動した。


周りの魔素が落ち着き、俺は目を開け一息吐いた。


「よし!発動成功だな!」


「よかったぁ〜!ユーダイ君、久しぶりだから上手く行かないかもなって思ってたけど成功して良かった!ミーナちゃん、これできっと魔法が使えるようになるよ!」


「えっ、どういうこと?今のは何?何だったの??」


ミーナは、今起こった現象がどう言うことか分からず混乱していた。


「取り敢えず、時間が惜しいから俺と両手を繋いでくれ。魔力循環させるから痛みを感じるかもしれないが我慢してくれ。それが終わったらミオネとしてもらうから」


「わ、わかったわ。お願いね」


ミーナは、両手を突き出しその手を俺は握り締めた。そして、魔力を循環させる。


「んっ、あっ、なに、これ」


ミーナは、何かに耐えるように歯を食いしばっている。

俺は、久しぶりの【異界伝承】でどこまで能力を引き出せるのか実験も兼ねて使用した。


運良くその能力を引き出せたのでミーナに魔力循環で属性を


《能力を確認しました。オリジナルに変換し新たな属性【神聖属性】【属性付与】を【世界記録】に記録しました。【神聖属性】が以後、使用出来ます。》


予想通り、新たな属性が派生した。

まだまだ実験を行なって研究したいが、リスクが大き過ぎるため頻繁に使うことが出来ないのが残念だ。


「ふぅ〜、それじゃ〜先にミオネと俺で魔力循環しようか。ミーナはちょっと休憩な」


「わかったわ」


そう言うとミーナは近くの木を背もたれにして座り込んだ。

入れ替わりにミオネがやって来て手を繋いで魔力循環を行う。


「ユーダイ君、今回はどうなの?」


「今回はねぇ〜、ちょっと特殊なんだ。まだ頻繁に使えないからどこまで引き出せるかわからないし実験も兼ねてみたな。ところでミオネ、どんな感じ?」


「ん〜、なんか新しい属性を感じるよ。聖属性の強化された感じがする。今まで感じたことのない優しくて力強いかな?」


「なら概ね、成功だな」


「どんな属性なの?」


「神聖属性って属性を作った。結界と状態異常無効、欠損、浄化だね。神様の属性って言えばいいかな?」


ミオネがビックリした顔で見つめて来た。


「ほぇ〜、ユーダイ君、またとんでもないことしちゃったね」


ん〜、ミオネがいつもニコニコしてるけどビックリする顔は久しぶりに見た。これはこれで可愛いな。


「でもこれ、私と相性いいかも知れない。なんだか使い方が思い付いてくるもん!」


「それはよかった」


ミオネが満面の笑みで笑った。うん、とても良いことをした気分だ。

言ってないけどこの属性を手に入れたことで魅了や隷属、精神系のスキルも魔法も無力化、効かなくなるからミオネやミーナの安全が強化された。


「よし、最後にミオネとミーナで魔力循環しようか」


「うん!ミーナちゃん、はい!」


「ええ、わかったわ」


ミオネとミーナ和やかな雰囲気で魔力循環を行った。

この2人を守るために出来ることは何でもしようと心に誓う。


そして、2人の魔力循環が終わり、ミーナが無事魔法を使うことが出来たのを確認して俺たちは街へ戻った。

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