第8話 ユーダイとミオネの実力

ミオネがユーダイに向かって魔法を放ちそれを素手で掻き消したユーダイを見てその場が静まり返った。


「・・・嘘でしょ?」


そう漏らしたのはミーナだった。

ミオネは、そんなミーナを見て


「まだまだだよ。見てて」


笑顔でそう呟くと、駆け出した。

そして、自らユーダイに接近して範囲内に踏み込んだ。

そして、ユーダイとの素手での組み手を始めた。


ただでさえ、ユーダイの実力に唖然としていたが、ミオネも同等の力があると知って周りは騒がしくなった。


そして、ミオネの一撃がユーダイの顎に入り集中力が切れたことによりユーダイとミオネは一旦距離を取った。


「痛ってぇぇ〜。ミオネを意識してシャドウをしてたのにいつの間にか本物と打ち合ってたとは気付かなかったわ」


「ユーダイ君、集中し過ぎだよぉ〜。みんな引いてたよ?」


「えっ?マジで?それはごめん。けどミオネがアイツと2人で盛り上がって置いて行ったから仕方ないじゃん」


「もしかして嫉妬してくれたの?ちょっと新鮮で嬉しいな、私」


嬉しそうな顔をしてミオネがユーダイの腕に抱き付いた。ユーダイは、顔を赤くしてミオネの頭を撫でる。

そして、辺りを見回して人が大勢いることに驚いた。


「なんでこんなに人が集まってるんだよ!?」


「ユーダイ君、集中し過ぎて反射領域作ってたよ?私のファイヤーボール打ち消してたし」


「あぁ〜やっちまったわ」


ユーダイは、自分の実力の一部を披露したことに少し後悔をした。

だが、そんな思いと裏腹に周りの反応はいい方向へと転がっていた。


「さすがリリィさんの息子だ」

「あの人と同じことが出来るってヤバいな」

「すぐにでもAランクなるんじゃね?」

「それより、坊主と組み手が出来て一撃入れる嬢ちゃんもやべぇだろ」



周囲の人々と先程までの組み手で2人の実力を知ったミーナは、格の違いに落ち込んでいた。


(これだけ実力差があるならあのユーダイが頑なにパーティーを断っていたのも仕方のないことね。今からでも抜けさせてもらうしかないわね)


そう思い、ミーナは2人に声をかけようとした。


「あ、あの!」


「あ、ミーナちゃん!どうすごかったでしょ?」


そう言ってミオネはミーナの手を握り締めた。


「ミオネ、聞いて。やっぱり私ね」


ミーナが断りを入れようとしたが、その言葉をユーダイが遮る。


「ミーナ、俺とミオネの実力はわかったろ?だけど、もうパーティーを組んだんだ。お前にも俺らのいる場所まで上がって来てもらうために俺らでお前を鍛え上げる。覚悟しろよ?今更、パーティー抜けるとか言うんじゃねぇ」


その言葉にミーナは目を見開いた。

そして、俯いて震える声で聞き返す。


「本当に私とパーティー組んでくれるの?足手纏いじゃないの?」


「最初は、足手纏いになるから断ったがもうパーティーを組んだ。なら仲間だ。友達だ。今はお互いに知らないことの方が多いだろう。だけどそんなもの知っていけばいい。実力が違うなら引っ張り上げればいい。俺たちは、を見捨てねぇ。引っ張ってやるから死ぬ気でついて来い」


ユーダイは、そう言い放ちミーナの頭をポンポンっと叩く。

そして、ミオネはミーナに抱き付く。


「ミーナちゃん!一緒に頑張ろうね!」


「・・・うん、よろしくね。2人とも」


周りからちらほらと拍手が沸き起こった。




拍手が鳴り止み、その場が解散となって人が減ったのを見てユーダイは提案した。



「それじゃ〜、腹も減ったことだし、飯食いながら今後の方針を決めるとしようや」


「今後の方針って何よ?」


「それはもちろん、」

「ミーナちゃんの育成方針だよー!」


ドヤ顔で告げるミオネにユーダイはジトっとした目で見て言う。


「ミオネちゃん?いいところ取らないでくれる?」


「初めてのお友達だから気合い入っちゃった。テヘッ」


そう言ってミオネは首をコテンとさせて頭をコツンと叩いた。


「可愛いから許す」


とにかく、ミオネに甘いユーダイであった。

それを今度はミーナがジト目で見ていた。


「でも上手くやっていけそうで、なんか安心したわ」


そう言ってミーナは笑顔になった。


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