第7話 私は・・・・・・
「あんただれ?」
俺は思わず聞いた。どこの誰かも知らないやつとパーティーは組めないし、まず名前がわからないから。
「わ、私はミーナよ。歳は10歳で弓を使うわ」
「あ、そう。ユーダイ、10歳。この子はミオネ、10歳。以上。サヨナラ」
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!!」
簡単な自己紹介をして立ち去ろうとしたが、簡単には逃してくれない。
溜息を吐いて、ミーナと名乗る少女と向き合う。ちなみに、ミオネは俺の背中に隠れるようにしてミーナを見ていた。
「なに?俺らはもう依頼の確認したいから早くしてくれる?あとパーティーは組まないよ、それじゃ」
俺がそれだけ言って歩き出そうとした。
が、不意に足を掴まれ顔面から床にダイブした。
「ぐへぇ」
倒れた拍子に変な声が出た。
鼻をさすりながら足を掴んだ犯人を見た。
その正体は、ミオネだった。
「ミ、ミオネちゃん?何するのかな?」
「ユーダイ君、ミーナちゃんとパーティー組もうよ?初めての同い年の女の子だよ!!私、ユーダイ君以外にお友達いないからミーナちゃんにお友達になって欲しい!!」
その言葉を聞いて俺の中に電撃走る。
ミオネ、友達欲しかったんだ。
余りのことに全然考えたことがなかった。
俺がミーナに向き合うとミーナは身構えて一歩後退った。
「ミーナ、俺が間違ってた。冷たい態度をとってすまない!」
「えっ、ちょっ」
そして、頭を下げた。
ミーナはあまりの事態にあたふたし出した。
そこにミオネがミーナの手を取り上目遣いで
「ミーナちゃん、私旦那様はいるんだけど同年代のお友達がいないの。だから私と、ううん、私たちとお友達になってくれませんか?もちろん、パーティーも組もう?」
「と、友達・・・私と友達になってくれるの?」
ミーナは、不安そうな顔でミオネに聞き返した。
その不安を払い除けるようにミオネは満面の笑みで返事をする。
「うん!!私、ミーナちゃんとお友達になりたい!!」
「友達、えへへ」
ミーナは、顔を赤くし照れた笑みをこぼす。
「それじゃ、ミーナちゃん、早速、パーティー登録しに行こっか?」
「ええ、そうね、ミオネ。行きましょう」
美少女2人が手を繋ぎ、受付まで歩いて行った。大変、微笑ましい。
そして、俺は頭を下げた姿勢のままずっと空気と化していた。
「ユーダイ、ドンマイだ」
優しい声をかけて俺の背中をポンポンと叩くマルスさん。
このおっさんの気遣いに感銘を受けるのであった。
それから数十分後、ミオネとミーナは仲良く戻って来た。
「ユーダイ君!ってあれ?ユーダイ君、どこに行ったんだろう?」
「おう、ミオネちゃん。終わったかい?ユーダイなら訓練場で身体動かすって言ってたぜ」
「本当に!?マルスのお兄ちゃんありがとう!行ってみるね!」
ミオネは、そう告げるとミーナの手を引いて訓練場に移動した。
「あ、ミーナちゃん。もしかしたらユーダイ君、訓練に集中し過ぎてたら気付かないかもしれないから、そのときは私たちの実力見てもらうね!」
「えっ?それはどういう事?パーティー組むにして実力を知れるのはありがたいけれども」
ミーナは、イマイチミオネの言うことが理解出来なかった。だが、訓練場に着いたとき理解した。
訓練場には、多くの人がいたがあるスペースだけ空間が開けていた。
その中心には、先程突っ掛かった少年が1人立っていて体術の型のような動きをしていた。
だが、彼の一歩踏み込んだ範囲内で異様な空気感が伝わって来た。
あの範囲内に踏み込めばすぐさま対応されるようなそんな空間が見えるような気がした。
「ユーダイ君!終わったよ!」
ミオネがユーダイに向かって叫んだが、彼には届いていなかった。
「もうっ!集中しすぎッ!ミーナちゃん、ユーダイ君に向かって弓を撃って見て!」
「えっ!?どう言うこと?」
ミオネは唇を尖らせながら右手をユーダイに向けて無数のファイヤーボールを撃ち始めた。
ファイヤーボールは、ユーダイの醸し出す範囲に入った瞬間打ち消されていった。
「「「「「はぁ!?」」」」」
一瞬のことでその場にいる全員が唖然とした。
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