お題「関西弁で話しかけてくるオルゴール」
オルゴールもろた。
道端の小汚い爺さんが突然渡してきてん。ほんまにいらんかったんやけど道端に捨てるのも気分悪い思て持って帰ってきてもた。
ほんまにいらんわあ。
まあでもなんというか、気になってしもたんや。オルゴールって見た目じゃどんな音鳴るかわからんやん。一応どんな音鳴るか確認しよ思うてしまったんや。それが全ての間違いやった。
カチカチカチカチ。オルゴールの蓋を開け、ゼンマイ巻くと、こんな音鳴らしよった。
「くあ~~~~えらいひっさびさの目覚めやで。お、兄ちゃん巻いてくれたんか?ほんまにありがとなぁあちょいちょいちょい!!!」
パタム。
俺はオルゴールの蓋を閉じた。
何やねんこれ。オルゴールがしゃべりよった。普通もっとおセンチでしんみりした音楽流れるもんやろ。音楽ですらないやん。どうなってん。聞き間違いかもせえへん。もう一回巻いてみよ。
「オイオイオイ!突然閉じるからびっくりしてもうたわあーびっくりしたひっさびさの空気やねんもう少し吸わせてや別に呼吸してるわけやないけどなオルゴールやから当然やけど」
「うるさ」
何やねんこのオルゴールえらいしゃべるやん。しかも語り口うざったすぎやろ。間が全然あらへんのよ、間が。聞かされるこっちの身にもなってや。
「うるさとはなんやねん」
「え?」
なんやこのオルゴール、今俺のリアクションに返事せえへんかったか?
「俺はなあ兄ちゃん、お前にえらい宝の在処について話そう思うとるんや、せなのにそんな態度とっとるようじゃあこっちも教えとうなくなってくるちゅうもんやわあ」
やっぱこいつ、自分に向かって話しかけとるん?録音とかじゃなく?じゃあもうオルゴールちゃうやんけ、と思いつつ、周りを確認しつつ恐る恐る小声で話しかけてみてん。
「何、お前、聞こえとるん、俺の声」
………………。
あかんネジ切れとるわ。めんどいわあ。
しゃらくさ、と思いつつネジを長めにギリギリ巻いたら、ネジ、取れてもた。なんやねんこれ。ほんまに。
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