古い魔法 2
大柱の周りがすっかり落ち着いてきた頃、アンナ、イリスタ、ナグの三人は再び合流した。
それぞれの腕には、特に気に入った本が一冊、しっかりと抱えられていた。
「あれ、二人も気に入った本を手放せなかったの?」
「そういうイリスタこそ。それ、とても楽しそうな本ね。」
「何でだろう、本から「もっと読んで欲しい」って言われているような気がして、つい持ってきちゃった。これも大柱の古い魔法の効果なのかな。」
「私も同じように感じてた!きっとそうかも知れないね。」
「うふふ、不思議なこともあるものね。」
三人は、照れて少し赤くなった顔を、お互いに本で僅かに隠しながら笑いあった。
「じゃあ、大柱のおまじない、試しに行こう!」
改めて、大柱に向き合う三人。淡く優しい光が、見惚れるその顔を照らしていた。
「君たち、おまじないをご希望かい?」
図書館員に声をかけられ、はたと我に返って返事をする。
「はい!お願いします!」
「うんうん。是非試してみておくれ・・・。ん?もう見たい本を持ってきているのかい?良いね、おまじないの効果もより覿面だろう。」
「ただ触れるだけで良いんですか?」
「そうだよ。大柱は何でも知っているからね。言葉にしなくても、君たちの心を読み取って、これから進むべき道をきっと示してくれるはずさ。」
図書館全体を包んでいる、古い魔法の空気。その主を目の前にして、三人の心は早鐘を打つように鼓動していた。
「これからの私たちに、どうか道をお示しください。」
三人は声を揃えて呟いて、目を閉じて静かに大柱に手を添えた。
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