古い魔法 1

「うーん・・・やっぱり、前より魔法が少し弱くなっているのかなぁ。」


 大柱のおまじないを試す行列がやっと落ち着いてきた頃、列の整理をしていた図書館員の一人が呟いた。


 「プラムさんが言っていた件?確かに、前はもっとはっきりと効果が表れていた気がするなぁ。司書たちも、目録の参照に時間がかかることが多くなったって言っていたし。」


 「再生戦争の時代からの情報を全部記録しているとは言うけど、記録は増える一方だもん。古い魔法だし、今の時代では上手く動かなくなってきているのかもね。研究を急いで貰わないと困っちゃう。」


 大柱の近くで日々を過ごしている彼らは、以前よりも、大柱に触れた者たちの表情が晴れ渡っていないことが気になっていた。


 「そもそも大柱って、どうやって作ったんだろうね。地下からこの階まで貫くほどのものを建てるのは、大昔の技術じゃとても大変だっただろうに。」

 「それこそ、とても大きかったって言われてる、龍種ズメイ族に協力して貰わないと、建築材料を運ぶのすら、時間もたくさんかかっただろうね。昔の人はすごいなぁ。」

 「ヘルガ様、だっけ。やっぱりその龍の思いをよく知っていたから、頑張れたんだろうね。演劇部がやってる公演でも、一番演出に時間をかけたところらしいし。」


 「アーカーシャの魔法、完成したらそんなヘルガ様の思いも、もっとよく知ることが出来る様になるのかなぁ。」

 「今はその時代の文献って、閉架書庫の一番奥底にあるんだっけ。先生と、一部の学生しか見られないところの。」

 「そうそう、目録の参照にも手続きと許可がいるところなんだよね。それだけ大事で貴重なものだから、やたらと見られるようにはしなくてもいいだろうけど、簡単な手続きくらいになれば良いね。」


 「そうだね。・・・学院長様の思いもあるだろうし、あまり覗くのも悪いし、なんてね。」

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