凝視の熱 2
「グラブダ王立学院在学生が選ぶ!城下町で人気の食事処」
と楽しげな文字で書かれた本を、イリスタは近くの閲覧席に座り込んで読んでいた。
城下町全体の地図と、それぞれの店について、イラストとコメントが添えられている。
グラブダの地で昔から親しまれてきた家庭料理が食べられるレストラン、龍種ズメイ族が好んで食べていたとされている果物を使った菓子店、遠い異国の雰囲気を内装にあしらった、一風変わった喫茶店。
多くの旅人が訪れる、大きな国だからこそ、と言えるほどに、数も種類も豊富であることが伺えた。
更に、そう言った建物内にある店以外に、小さな台車一つが店代わりとなっている、移動販売と言われる形態の店もあると書かれている。
それらの販売する食べ物は、どれも非常に珍しく、いつどこに現れるかは未知で、唯一共通しているのは、どれも頬が落ちるほどに美味である、ということだという。
「何それ・・・。とても見たいし、食べてみたい!明日の城下町にも出てたりするのかな・・・。」
イリスタは、まだ見ぬ珍味に心を躍らせていた。
その先へとページをめくる。
そこには、学院卒業生たちが設立したレストランの特集ページが組まれていた。
「毎年冬に行われる、「御用茶菓子コンテスト」。様々な趣向を凝らした茶菓子を製造するにあたり培われた技術を持って、一流の職人となった本学院卒業生たちが、皆様の素敵なひと時を豪華に飾ります。」
「是非、歴代の御用茶菓子の味をご賞味ください!」
そこに載っている料理や茶菓子の数々は、昨晩、寮で食べたコニーの手料理を、更に豪華にしたものばかりだった。
「新作!昨年準優勝・ルーグ寮産紅茶。好評につき、メニューに追加!」
昨日食後に飲んだ、飴色に光る紅茶と、鮮やかな香草が添えられた絵に、イリスタは思わず、喉をごくん、と鳴らした。
そして、ページの最後には、イリスタの気持ちを後押しする文言が書かれていた。
「新入生は、特に割引!グラブダの味を心ゆくまで、ご堪能あれ!」
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