ありふれるもの 2
再び訪れた図書館は、変わらず途方もない本と、淡い光を放つ大柱を以って、三人を出迎えた。
ただ昨日と違うのは、そこにある目当ての叡智を求めて、さらに大勢の学生が歩き回っている点だ。
本棚は、すっかり見た目にも風通しが良くなり、残る本も次々と学生たちに手に取られていく。
寂しくなったその隙間を埋めるように、図書館員たちが追加の本を両手一杯に抱えては、次々と棚に差し入れていく。
その作業をこなしながら、目当ての本を見つけられない困り顔を見つけると、にこやかに声をかけては、手助けをしている。
晴れ晴れとした顔になった学生たちは、更なる本を探して、目を輝かせていた。
中央の大柱を半分囲むように作られた司書席には、本についての相談を希望する者たちが行列を作っている。
司書たちは、彼らがどんなことを知りたいのかを言葉巧みに細かく聞き出しては、目録を参照しているのか、大柱に触れてから、関連する項目ごとに綴じられた分厚い資料を取り出し、彼らに提示している。
今日の朝から今まで、これらの作業をどれほど繰り返したのか、その手元には、資料が山のように積み上がっていた。
大柱を挟んで司書席の反対側は、大柱のおまじないを試している者たちで溢れていた。
「学年が一つ上がって、これから私はどういう研究をすべきなのか、道を教えてください!」
「この分野を続けるべきなのか、それともこちらの分野に変えるべきなのか、悩んでいます。どうか良い方を選べますように!」
「あの子のことが気になって仕方がありません。この気持ちを伝える方法を教えてください。」
「絶対に負けたくない友達がいるんです。どうか、勇気をください!」
「思うように成果が出なかったんです。慰めてください・・・。」
勉学や進路についてを問いかけるだけでなく、日々の中で抱くありふれた悩みについても、大柱に問いかけている彼らの姿を見て、イリスタがポツリと言う。
「私、この留学中におまじないを試す回数、すごく多くなる気がする。」
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