王立美術館 3

 「ナグちゃんの書いた文章に、アンナの挿絵・・・うん、すごく良い。最高。」

イリスタは、顎に手を当てて考え込んでは、ぶつぶつと呟き、ニンマリと笑っていた。

「・・・また妙なこと考えている顔ね。イリスタったら。」


「それにしても、面白い試みだね。今日だけでも、知らないことがたくさんあったもの。実際にこの場に来ないと、知らないままだったかもしれないなんて、すごく勿体無いね。」

「確かにね。もっと前から詳しく知っていたら、具体的に勉強したいことも決められたのかな。」

「迷うのも一つの楽しみだとは思うけど、やっぱりそう思っちゃうよねぇ。私は今日一日でも更にやりたいことがどんどん増えて、今ちょっと困っているもの。」


 頭を抱えるイリスタの姿に、プラムが声をかける。

 「悩んでいるなら、図書館の大柱のおまじない、是非試してみて。グラブダ王国の叡智は、きっと貴方に道を示してくれるはずよ。」

 

プラムたちと別れ、美術館内の説明に再び新入生たちは耳を傾けた。

「特に美術館の展示には、画商が買い付けに来たりすることも多くてね。それがきっかけで、世界的に有名なアーティストになった子達もいるんだ。色んなジャンルで作品募集が積極的に行われているから、気になったものがあれば参加してみるのも良いだろうね。」


 展示を見たそんな画商と思われる者たちが、至る所で作品の製作者に交渉をしているのだろう、静かながらも、賑やかで活気にあふれていた。

 

 「それにしても、絵画だけでも色々な技法があるのね。私は色鉛筆で描くことが多いけど…見て、これは色をつけた砂を使って絵を描いているんだって。」

アンナは、思いもよらなかった表現方法に思わず見惚れている。


 「へぇ、面白いね。こっちは色の違う石を砕いてモザイクアートにしてるって…場所によって異なる地質であることを使って…作った人は地質学を専攻しているんだって。なるほど、自分の専門分野を芸術に活かしている人もいるんだ。」

「それならなおさら、図書館の大柱のおまじない試しに行かなきゃね。効果があるといいなぁ。」

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