再生戦争と国 2
「失われ、また不足した物を再び手に入れる為のこの戦いは、再生戦争と名付けられた。」
「戦後、発端となった魔力消失の異常現象について調査が行われた。」
同時に、全種族の代表者による「世界議会」が発足したと説明が添えられていた。
そのシンボルマークは、全ての種族が不思議と知っており、また信じられている、「創世神話」をモチーフとして作られていた。
戦争に於いて、悲劇すらも産んでしまった、埋めることの出来ない種族差を、唯一感じさせない象徴であることから、決められたと記されていた。
「全ての種族が被ったその災厄の原因は、魔力は無くなるものではないという前提の下、世界中に於いて、無闇に魔力を使用、消費したことによって引き起こされたものだと判明した。」
「魔法を使用する際、その場所に存在する魔力だけでは賄いきれず、不足していた場合に、不足した分は他の場所から差し引かれる。強力な魔法であればあるほどに、使われる数が多ければ多いほどに、それは顕著になる。」
「その調査と報告を元に、グラブダ王国を中心とした世界議会・学術部門は、それまで強力な魔法のみで構成されていた魔法理論を新たに構築し直し、含有魔力に基づいた無理のない魔法体系を開発した。」
「現在は、魔法の扱いに長ける魔族と、ヒト種の中でも特に魔法を得意とするエルフ族が中心となり、各地でその魔法体系の教育・普及に努めている。」
学術全般に関しては、グラブダ王国が世界最高峰だが、分野ごとに見ると、それぞれ特化した国や地域、学校があり、お互いに留学生を積極的に受け入れているとある。
「ええと・・・確か、オリビアさんはルディミア魔法学院からの留学生って言ってたっけ。」
「どんな学校なんだろうね。名前からして、魔法学の専門だろうけど・・・。」
説明板の脇に並べられた、提携校のパンフレットを端から端まで、またもやいつの間にか手にしていたイリスタは、それをペラペラとめくっては、忙しなく目を走らせていた。
「イリスタったら、またいつの間にか持って来てる。パンフレット、ポケットに入りきらないんじゃない?」
すでにいっぱいに膨らんだイリスタのポケットを見て、二人は笑うのだった。
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