王立博物館 3
ズメイ族の巨大な模型を中心に、半円を描くように、展示室が並ぶ。
右から自然史、歴史と続き、それらの終点、一番左手には土産を販売しているのか、小さな店が二、三並んでいた。
各展示室の入り口には、シワが無くピシリと伸びた白衣を来た学芸員たちが、展示の見所を力説していた。
「先日発掘により新たに発見された遺跡と遺物。その最新の調査結果を展示しています!」
「数年に渡る定点観測による新たなる見地!是非ご覧ください!」
「未知とされていた文字の解読!新たに仮説が実証されました!どうぞ中の展示物をご覧ください!」
「新たな魔法理論の可能性!展示品にも自信がありますよ!」
「見ての通り、各分野ごとの学芸員たちによる展示は熱量のこもったものばかり。一日二日では、とてもまわりきれるものではないから、今日は一通り展示室を通るだけにしておこう。彼らの研究成果は後日じっくり見てあげておくれ。それが何よりの彼らへの応援と、皆の糧となるからね。」
案内人はそう言うと、右端の自然史の展示室へ先導し、新入生たちもそれに続いた。
「どれも面白そうな展示ばかり。またお休みの日に行く場所の予定が増えちゃったね。楽しみだなぁ。」
イリスタは、いつの間にか手にしていた展示一覧のパンフレットを広げては、指でその文字をなぞっていた。
「イリスタったら。それ、いつの間に取って来たの。どこに置いてあったの?私も貰っておこうかな。」
「模型の裏側にずらっと並んでたよ。すごいよね、毎週展示内容が変わるんだって。」
ナグは、移動を始めるアンナとイリスタたちに一足遅れて歩いていた。
図書館で大柱を見た時のように、何故か巨大な龍の模型からも、目が離せなくなっていたからだ。
「この模型にも・・・魔法がかかっているのかな。」
誰にも聞こえないほどの小さな声で、ナグは呟いた。
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