書き記す腕章 2
「ジグムント様って、コニーさんのお話に聞いていた通りの、とても大らかで優しい方なんだなって思いました。それと・・・少し悪戯好き、なんですね。」
イリスタは、意外なジグムントの一面についての感想を述べる。
「国王様の式典でご覧になった時とはまた違った印象だっただろう?国王様に何度もお会いしている武官様でさえ、あの場は緊張してしまうものなのさ。
今回の模擬試合で見たジギー様が本来のジギー様だよ。悪戯好きなのもその通り。
よくコニーさんに大目玉を喰らっていたそうなんだ。色んなエピソードがあるんだけど・・・ふふ、それについては寮でね。」
アステリオは忙しなく手元の紙にペンを走らせながら、ジグムントの人となりについて語る。
「私たちの故郷では、実戦と言えるような事は全く無かったし、魔法を使う場面なんて限られていたから・・・。あんなに使いこなされた魔法は初めて見ました。
魔法って覚えるのも難しいけど、でも、もし、私たちにも出来るなら、使いこなせるようになりたいな、って思いました。」
アンナは目まぐるしく繰り広げられた彼らの魔法の威力と技術の高さについての感想を述べた。
「いいわね!ゼライツ様もおっしゃっていたように、学院にはその願いを叶えるための手段が揃っているわ。
例えば・・・そうね、今から向かう博物館では、家庭で使われるような小さな炎の魔法がどのように発展して、ルヴェン様の使われる、実戦向きの魔法になったのか、といった、魔法の歴史について学ぶことが出来るのよ。
それに、これからの講義の中でも、魔法の原理や理論はしっかりと教わるから、その上で、自分の使いたい魔法について考えてみるのもいいかもね。」
リロはペンをくるりと回して言う。
広場から東側は、学生寮のある西側とは違った雰囲気を醸し出していた。
石畳が描きだす地面の模様は、道の先に向かってひたすらに一直線に続いている。
飾り気はない代わりに、自然と背筋が伸びる心地がする。並ぶ建物に彩りを添えるのは、色とりどりの花々はつけないが、その分さっぱりとした香りを出す草木だ。
臨む大海から運ばれる潮風と混じり、爽やかな空気を作り出していた。
たどり着いた先は、大きな柱で支えられた、深い群青色の屋根を持った、一際大きな白亜の建物。
高く登った陽に輝く、金色の碑銘には、『グラブダ王立自然史歴史博物館』と刻まれていた。
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