真白な朝 1
カラーン、カラーン、カラーン。
朝を告げる鐘の音が、遠く、王宮から街へ向かって響き渡った。真っ白に輝く朝日は既に海の上に浮かび、一日の始まりを王国中に告げていた。
柔らかな日差しが部屋の中に差し込み、新入生三人の寝顔を明るく照らし出す。その光に、一番に目を覚ましたのは、アンナだった。
「ふわぁ・・・。」
アンナは、寝ぼけ眼で大きな欠伸をしては、部屋をくるりと見渡した。
昨夜は、アンナもイリスタも瞼が重くなったので、片付けもそこそこにして、眠りについたということもあり、荷物があちこちに散らばったまま置かれている。
「横になったら、すぐに寝ちゃったなぁ。」
ふと、まだ寝息を立てているイリスタとナグに視線を移す。
イリスタは、枕をぎゅっと抱きしめる格好をしており、掛け布団はすっかり脱げて、足元の方に丸まっていた。
「ふふふ、寒くなかったのかしら。ぐっすり眠れているなら構わないけれど、それにしても、凄い寝相ね。」
まるで声に反応するように、イリスタがむにゃむにゃと口を動かし、声にならない声を出す。その様子が可笑しく、アンナは軽く吹き出した。
ナグは、まるで本を広げ、何か書くような手の形をしたまま、うつぶせになって眠っていた。
「ふふふ、夢の中で、もうお話を書いていたのかしら。どんなお話になるのか、本当に楽しみだなぁ。」
アンナは窓を開けて、外の空気に触れる。まだ少し残る肌寒さが、朝の静謐な空気を、より一層際立たせていた。
目を瞑って、しばらく全身を朝の光の中に委ねた後、一際大きく深呼吸をしたアンナは、「よし!」と、意を決して一日を始めるのだった。
「イリスタ、ナグちゃん、起きて。気持ちのいい朝だよ。おはよう。」
「うぅん・・・。おは、よ・・・う・・?」
「ふぇ・・・。もう少しだけ・・・。むにゃ・・・。」
最初は優しく揺り動かしては声をかけていたが、なかなか目覚めない二人に、アンナは次第に時間に急かされていく。
「早く起きないと、間に合わないよ!二人とも、起きて、起きてったら!」
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