石畳の広場 1
「・・・ぷはぁっ!」
「ああ、やっと息が出来る!」
王宮での入学式典が終わり、大階段下の石畳の広場に戻ってきた新入生たちは、ヘトヘトになっていた。
アンナとイリスタは、広場中央の噴水の縁石に大きく足を投げ出して座っては、天を仰ぎながら深呼吸をした。
「あれが王様・・・。初めて見たけど、やっぱり凄いね。今もドキドキが止まらないよ。」
ナグもまた、自分の呼吸を確かめるように、胸に手を当てて呟いた。
他の新入生たちも、各々抱いた感想を興奮冷めやらぬ様子で話し合っていた。
そんな姿を、広場で談笑していた上級生たちがニコニコしながら見つめていた。
「皆、大丈夫?とても驚いたでしょう。」
「僕らも入学した時は、同じだったよね。」
「特に王様の前では、息ひとつ出来ないくらいだったでしょう。とにかく、お疲れ様。」
銀のメダルを首からかけた、一つ上の上級生たちは、新入生のその疲労を懐かしむ様子で、労いの言葉をかけた。
そして、「最初の試練を乗り越えた新入生たちを歓迎します!」と、上級生の一人が戯けて声を挙げ、それに呼応するように、他の学生たちも新入生たちに拍手を送った。
「毎回、この歓迎の姿を見るのが好きです。学生たちの優しい心根を感じると共に、我々の指導が正しいものであると実感できる瞬間ですから。とても素晴らしいですね。」
先ほどまでのキッとした表情とはうって変わって、柔和な顔をしたゼライツと案内人たちが遅れて広場に現れた。
式典の後、新入生たちと一旦別れていた彼らは、港で預かった新入生たちの荷物を載せた、大きな荷馬車を曳いていた。
「さて、皆さんお疲れでしょう。各自、これから皆さんが暮らす学生寮へ移動し、荷物を運び入れたら、本日はお終いです。明日までゆっくりお休みくださいね。」
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