謁見の間 2
温かな光が差す玉座に、然るべき者を迎えた謁見の間は、完全な姿となって、その場にいる全ての者たちを包み込んでいた。
その空気に、特に新入生たちは、息をするのも忘れてしまいがちになる程に、当てられていた。
ピンと張り詰めた空気を、玉座に最も近い、侍従長と思われる者の言葉が和らげた。
「我がグラブダ王国へ、よくぞ参られた。こちらに御坐すのは、グラブダ王国国王陛下で在らせられます。」
その言葉に、玉座に座る者は軽く頷いた。
冠の金細工が僅かに揺れ、シャランと涼しい音を立てた。
そして揺れる度に光を受けて、輝く粒子で冠を飾った。
「「アカシック・レコード」の管理者であり、「アーカーシャ」の行使者となる御方です。その御旨をよくよく理解し、尽くすことを、我々は望みます。」
傍でその言葉を聞き終えた国王は、静かに目を閉じ、軽く一息ついて立ち上がる。
そして、群青色の瞳で自らの下に集まった全ての者を捉えて、
「グラブダ王国へ訪れた、新しい風たちに祝福を。」
と、涼やかな声を響かせた。
瞬間、謁見の間にふわりと風が吹き、その場にいる全ての者の頬を撫でた。
「グラブダ王国に栄光あれ!国王陛下、万歳!」
「グラブダ王国に栄光あれ!国王陛下、万歳!」
四人の武官が、金の長剣を高く掲げ、勇ましい閧の声を挙げた。
アンナ、イリスタ、ナグを始めとした新入生たちは、その光景を見つめるだけで精一杯であった。
この国に住む者たちの尊敬の念を一手にしている、圧倒的な存在。想像できない程の重圧を受けているはずなのに、それを微塵も感じさせない優雅な姿。
凄まじく、また畏れ多いその光景を前に、自分たちがまだ立っていることを忘れないように、ひたすら全身に力を入れていた。
その様子を、国王は慈愛に満ちた眼差しで見つめていた。
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