王立図書館 2
グラブダ王立学院大図書館は、王宮に続く大階段の中層部を一階とする、地下四階、地上四階建てである。大柱部分は全階層を貫く吹き抜けで、その周りを円を描くように、各部屋が並んでいる作りとなっている。
学院のメダルが銀色の者までは、地上一階から地上三階までの開架書庫のみ、地下一階以下の閉架書庫は、金色のメダルを持つ、最上級生から使用できる。中でも、地下四階の最下層は貴重書庫であり、ここは学院の教職員と、選ばれた一握りの学生のみ入ることが許される。
しかし、大柱にかけられた魔法のお陰で、使用できない書庫に収蔵されている資料も、概要を知ることは可能である。
地上四階は、各研究室が並ぶ。一つの部屋の大きさは、十歩ほどの四方しかないが、部屋の数は百を超える。
それより上階は、グラブダ王宮部分であり、大柱の直上には、玉座がある。
「アカシック・レコード」を管理し、「アーカーシャ」完成を目指し、先頭に立つ旗頭として国王が君臨する、ということを象徴した構造である。
「大図書館の大まかな説明は以上です。これから日々利用していく内に、効果的な大図書館の使い方を学んでいけることでしょう。もしも研究に行き詰まったり、進むべき道が分からなくなった時は、大柱に触れてみてください。きっと頭が冴えて、いい考えが浮かぶという、昔から伝わるおまじないです。」
大図書館内の説明が一通り終わり、次の場所への移動を徐々に始める新入生たちだったが、ただ一人、大柱をひたすらに見つめる一人の少女がいることに、アンナとイリスタは気付き、声を掛けた。
「本当に、大きくて綺麗な柱だよね。」
「私、まだこの学院でやりたいことが固まっていないから、後でおまじない、試してみようかな。貴女も一緒にどう?」
「え!?あ、ごめんなさい、驚いちゃって。うん、ずっと見てると吸い込まれそうなくらいに綺麗。うん、触ってみたいな。」
「じゃあ、後でまた来よう。私はイリスタ。よろしくね。」
「私はアンナよ。よろしく。」
緋色の瞳が印象的なその少女は、少し頬を赤らめて答えた。
「私はナグ。よろしくね。」
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