魔法の仕組み 1

 ロキは自身がぶつかった岩肌を指差して言う。その衝撃の激しさを物語るひび割れは、薄く汚れた表層を削りとって、ひとつ奥の層を二人に見せていた。


 「永遠の氷か・・・。これはヘズの使う記録の魔法とは別の物と見ていいのか。」

 「どうだろう。ヘズの筆が氷龍の氷、記録を落とし込む先が岩だと考えれば・・・むしろ同じ物と言えるかもしれない。ヘズに魔法の仕組みを教えて貰えば良かったかな。」

 「もしくは、氷龍の長ラーフェイ殿に直接聞ければ良かったな。」


 僅かな氷の反射光のみが差し込む谷底は、ロキが先ほど歩いた跡すら、既にもう何処か分からない。

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