翼たちの中で 3

 「その重さだけで痛めるなんて、トールらしくない。鍛錬不足か、皆が雷槌を使えないトールは戦士長に相応しくないって言うのはあながち間違っていなかったってことかい?」

 ロキは仕返しだと言わんばかりに、憎まれ口を叩く。天翼族の者たちから言われることの無い、しかし核心をついたような鋭いロキの言葉に、トールは敵わないと言ったように肩をすくめて頷いた。

 「全く、手厳しいな。それも少なからずはあるかも知れんな。しかし、気がついたらそうなっていたのはお前がそうやって私を惑わせるせいだぞ、ロキ。」

 僅かに雷を纏わせて、ロキを小突く。ピリピリとした小さな衝撃がロキの身体を走ると、少しだけ節の痛みが柔らぐ。トールらしい治療魔法だ。

 

「なんてな。・・・おそらく原因は『魔力の消失』だ。あの瞬間だけ、な。」

 「だろうね。僕らがこの程度で済んだは不幸中の幸いか。最悪はスルトたちの故郷のように、二目と見られない崩壊だ。」

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