翼たちの中で 2

 「大丈夫だよ。トールは相変わらず僕を心配しすぎだ。他の龍族の角はどうかは知らないけれど、僕の角はただの氷だ。氷龍の魔法を使う時に力余って出てくるだけのものだから。それより、僕はトールの右腕の方が心配だよ。」

 見た目では分からないが、こちらも酷く捻ってしまったのか、しきりに腕の筋を伸ばしては動かしている。

 「多少の治療魔法は心得がある。これくらいは問題ない。雷槌の反動で痛めるの良くあることだ。・・・ただ、雷槌を使っていない時に痛めるのは初めてだ。」

 雷槌の柄の、物質の重量を操る土魔法の魔法陣は、トールの感じた異常など無かったかのように、欠けることなく正しく記されていた。

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