氷の記憶 4

天翼族との戦争状態を収めに来たオーディンの手に、赤子のロキが預けられる。そのオーディンの背を、憧れに満ちた眼で見つめているのは、こちらもまだ戦士として雷槌を握り始めたばかりの年若いトールだ。


 「長ラーフェイ殿の期待にお応えしましょう。王子ロキ様は我々の立派な架け橋となりましょう。」

 天翼族は氷龍の長ラーフェイの子を預けられたという事実は、創世神の守護者として威を示すに都合が良いものだった。

 その為には、ミミルの川で片目を焼かれ失うことも厭わなかったオーディンに、ラーフェイは天翼族の狂信を見た。

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