氷の記憶 2

 「これこそが脅威だ。我らのように強靭な身体も、強力な魔法が生身で使える訳でもない連中が、世界を守るなどと大それた事を言える理由の一つなのだ。」

 周囲を取り囲む氷龍の巨躯からは想像も付かないほどに小さい、天翼族に似た同素体の姿をした氷龍の長ラーフェイが、その洞穴の中から出てきた。

 その腕には、生まれたばかりの赤子が抱かれていた。


 「この子は氷龍と天翼、どちらにも属し、そして同時にどちらにも属さない、永遠の孤独の中にいる子だ。世界を守るという大義名分を掲げる連中が、彼をどう扱うのか、実に見ものではないか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る