氷の領域 3

「・・・少し見てくる。トールは雷槌を準備して待っていて。」

「分かった。お前も十分用心しろ。」


互いに頷いて、自分に降りかかるかもしれない危険へと同時に備える。トールは雷槌に魔力を込め始める。冷たく乾いた空気が擦れ合い、バチバチと青白い火花を雷槌の周りに作り出す。

強く握り込んだ柄はキンと冷え切り、トールの手を革手袋の上からでも寒さが突き刺さる。


対するロキは谷底に降りて行くほどに強くなる冷気を受けて、より天翼族の姿からかけ離れた姿へと変化していく。

ついには「龍族の同素体」と言っても過言ではないほどに、身体のあちこちに氷の鱗が形成されていった。

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