氷の領域 2

ついに寒さに草木が一本も生えなくなった場所から続いている深い谷の奥底が、氷龍ヨトゥンの領域だ。

谷の入口には、透き通った氷が城壁のように高く積み重なっている。その先端には槍状の氷が、こちらを撃ち抜かんと刃をこちらに向けて並んでいる。

「・・・何かがおかしい。やけに厳重だ。」

「龍は己の力に絶対の自信を持つ・・・か。」

「そうだ。「こんな備えは必要ない」はずなんだ。」


ロキは天翼族の翼を広げる。母親から受け継いだその翼は、雪の色に似ていた。そして同時に氷龍の証である角を現す。深い青の氷で出来たその角は冷気を帯び、青い氷の髪を一層固く凍らせた。

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