氷の領域 1

「ここに来るのも久しぶりだね。」

緑の木々に囲まれていた天翼族の領域から離れていくにつれ、次第に周囲の気温が下がっていく。葉の代わりに、あちらこちらに氷雪の塊が静かに横たわっている。凍った黒い地面は、踏むたびに表層の氷がパキパキと砕け、その冷気を噴き出していた。


「いつ来ても凍える寒さだ。今になって、スルトの灼熱が恋しいな。」

「勘弁してくれよ。僕の故郷を溶かされては困る。寒いなら、氷の反転魔法を使ってあげるよ。少しはマシになるだろう。」

「私も炎魔法なら多少の心得はあるが、雷の熱で間に合わなかった時は頼む。氷龍ヨトゥンと対峙するのは本当に久しぶりだからな。」

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