橋の上で 3

 眼下に流れるミミルの川の流れは、過去トールの父オーディンがその身を投げ出し焼かれた時と変わらず、美しくさらさらと音を立てていた。しかしその飛沫は、氷龍の領域へと繋がっていることを示しているかのように、周りの暖かな空気に似合わず冷たく、触れるとちくちくと痛みさえ感じるのだった。

 「ミミルの川・・・我が父オーディンは、その眼をこの川に焼かれたという。その代わりに、未来幻視の魔法をより自在に操ることが出来るようになった。そしてその眼で見た幻視に従って・・・氷龍ヨトゥンとの戦いに決着を付けたんだ。」

 トールはその飛沫を頬に受けながら流れを見つめる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る