橋の上で 1

 手入れの行き届いた床板に、煌びやかな装飾のついた欄干が続く虹の橋<ビフレスト>は、天翼族の足跡そのものだ。

 創世神<ユグドラシル>の守護者を謳う彼らにとって、虹の橋が各地へと伸びている様子は、それだけで誇りを感じられるものだった。


 その中に吹き溜まりに塵が集まっている幾つかの橋は、殆ど現在は使われていないようだ。つまりは天翼族が武器を携え出立する必要が無くなった場所であるという証左であり、その繋がる先は、平穏が広がっていると言えるのだろう。


 「まずは北のヨトゥンの地かい。僕の父上に話でも聞きに行く?」

 「同じ龍族なら、既に何かを感じ取っているかも知れない。お前もご両親が心配だろう。」

 「物心ついてすぐこちらに来たから、あまり実感は無いけれどね。ま、僕の無事を伝えるだけでも意味はあるのかな。「この戦時に於いても、天翼族は龍族ヨトゥンの盟友」だと示せる。」

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