ロキとトール 2

創世神話に語られる「各地の命満ち足りた刻」、世界中の環境が悪化し、少ない資源を奪い合う大規模な戦争へと発展していった。


「この世界は創世神<ユグドラシル>の身体そのもの。我々自身も創世神<ユグドラシル>の分け身。世界を脅かし、徒に焼き尽くす者たちを止めねばならない」

そう昔から信じてきた天翼族スカーネも、例外無く戦争へと突き進んでいった。

最初は調停者としての立場で参戦した彼らだったが、まるで考えの違う異種族には通用せず、逆に新勢力として牙を向けられるようになってしまっていた。

そんな彼らが異種族は徹底的に叩かねば止まらない、と考えるようになるには、そう時間はかからなかった。


ロキは戦争が始まるより少し以前、友好の証として、龍族ヨトゥンの族長と天翼族スカーネの婚姻の下に生まれた。

そして両者の戦争の末、今度は龍族ヨトゥンからの友好の証として、天翼族スカーネへ遣わされたのだった。

天翼族スカーネの教えを物心つくまで知らなかったロキにとって、彼らの教えは理解はしていながらも、心から信じることは出来ないものだった。


そんなロキは当然嫌われるが、今までにない新しい視点だと面白がって近づいてきたのが

破天荒な性格の戦士トールであった。


天翼族を一歩引いた目線で見つめるロキとは歳が近いこともあり、すっかり意気投合する。

彼は成長し戦士長となったことで、今回の戦争の指揮を取っているのだった。

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