第60話 だって

 言いたいこと、いっぱいあったのに、何も言えなかったなぁ……。

 ううん。言わないで正解なんだよ。

 だって、私は……。

 自然と涙が溢れた。

 視界がぼやけて何も見えなくなる。

 ベッドに倒れ込んで、頭から布団をかぶった。


「あああああぁぁぁぁぁ!」


 もう一度。力いっぱい叫ぶ。


「あああああぁぁぁぁぁぁ!」


 布団をとっぱらって、壁に向かって投げつけて、近くにあった枕も投げようとして掴んで、だけど投げられないまま、力が抜けて膝から崩れ落ちる。

 涙が溢れて止まらない。

 握り拳をつくって、床を殴りつける。

 何度も。何度も。何度も。

 もう二度と、写真部には戻れない。二人には会えない。

 しゃべれないし、触れられない。


 私はもう、二人に会う資格がないんだ。

 だって、私は……、犯罪者だ……。

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