第48話 耐える
間違っていた。
先生を頼ろうとしていたのがそもそもの間違いだったんだ。
雲浦が気弱だからとか、そんな話じゃない。
仮に、誰かほかの先生に相談したとして、その先生が宮火のことを叱ってくれたって、あの宮火が素直に説教を聞くはずがない。適当に聞き流すか、何かしら理由をつけてさっさと帰ってしまうに決まっている。そんなことくらいであいつが反省するわけないんだ。
口で言ってどうにかなるものじゃない。
あんなのは動物と一緒なんだから。本気で言うことを聞かせようと思うなら、絶対的な恐怖でしめつける以外に方法なんてない。
それなのに、体罰は犯罪だとか、虐待につながりかねないだとか、マイナスの面ばかりを見て、バカ親とマスコミが過剰に騒ぐせいで厳しい指導が許されていないんだから、どんなに素行の悪い生徒がいたって、教師には何にもできやしないんだ。
だとしたらもう、宮火のことは自分で対処するしかない。
考えるかぎり有効な手立ては一つだ。
無視しよう。根気強く、時が過ぎるのを待とう。
下手に行動を起こして問題が大きくなってしまったら、佳奈ちゃんと先輩にまで迷惑がかかりかねない。
それだけは避けないと。
進級まで、目をつむって耐えるんだ。それしかない。
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