第2話 落胆

 待ちに待ったチャイムが鳴り響く。

 今日は土曜日だ。テスト前で部活は休みだし、ここからは好き放題できる。

 みんなが雑談しながら帰り支度を始める中、


「少しは勉強しとけよー」


 と豊橋先生が声を張った。

 軽く頭を下げながら教卓の前を通り過ぎる。


「おい。月坂」


 名前を呼ばれて立ち止まる。


「はい。何すか?」

「職員室の前で待っとけ」

「えっ。何でですか? 俺、何かしました?」

「あとで言う。とにかく待ってろ」

「いやー、あのー、今日はちょっと……。外せない用事がありまして……」

「知らん」


 先生はそう言うと、パンプスをコツコツ鳴らして颯爽と教室を出ていってしまう。

 なんてこった。

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