日崎さんはお休みです

御所内崇弘

第一章 日崎さんはお休みです

第1話 はじまり

 黒板に書き殴られた数字とアルファベットをわけもわからないままノートに写す。

 あーあ。こんなことに何の意味があるんだ。

 脱力して頬杖をつく。


 掛け時計を見上げると時刻はまだ正午前だった。

 あー、腹減った。

 授業はつまんねーし、だからって寝てたらブチギレられるし、暇だし。


 先生の解説を聞き流しながら、右斜め前の席につく土谷の長い髪と、その真剣な横顔を眺めて和む。


 そうしてひとり幸せな気分に浸っていても、すぐ目の前の空席を気にしてしまうと、それだけでまたあの日の怒りがよみがえってきて大声で叫びたくなってくる。


 まったく。何を考えていやがるんだか。

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