第2話 あさの時間「レインはいいひと」
朝起きた時に違う場所にいるとすごく不安になることはないだろうか。
例えば旅行に行った時にホテルや旅館の天井が朝目覚めたとき目に入ると無性に不安になることがある。
そして昨日のことを思い出して安心する。私は今その状態だ。この話を前友達にしたら「わけわからん。」といわれた。
なんかショックだった。
そういうわけで、慣れない場所で目を覚ますなんて多くはないが少しは慣れていたつもりだったのだが。
ここが日本じゃない、というか地球じゃない別の世界かもしれないと思うと
不安感が増すばかりである。
私は若干残る眠気と戦いつつ布団から体を起こし部屋を出る。昨日二階の部屋に案内されたので階段を下りているとレインとすれ違った。
「「あ。」」
「えっと...」人と発言が被るなんて生まれて初めてかもしれない。
というか、これもファンタジーの一部だと思っていた。
「先に言っていいわよ」ここで無理に遠慮してもいけないので言う事にしようかな。
「あのー、私これからどうしたらいいですか?」
「そう!私も今そのことを言おうと思ってたの! えっとね、まずは...うちの制服と、メニューと、その値段の表を渡しておくわね」
「はい、ありがとうございます」
「それと、開店は八時だから~、そうそう朝ごはんできてるから一緒に食べましょう。」
「はい、何から何までありがとうございます!」
「さぁ、行きましょう」
私達は喫茶店とは別の厨房の裏側の方にある食事スペースへ行き席に着いた。
「「いただきます」」
と、声をそろえて合掌すると、レインが何か不思議そうな顔をしている。
気のせいいかな、と思いご飯に箸を付ける。
うわぁ~この卵焼き美味し~、などと顔を崩していると、レインが
「あなた、遠い所から来たって言ってたわよね?」
「はい」そういえば昨日そんなことも聞かれたっけ。
「それ、本当なの?この世界で手を合わせて、いただきますって言うのはこの国だけよ」い・た・だ・き・ま・す・って言うのは。
「えっ!?あ、うぅ、えぇと~」なんと説明すればいいのだろうか。
「まあ、いいわ」
「え!いいんですか?」
「そうね・・・何か事情があるんでしょ」
レイン、いい人だ。
「でも、悪い事とか変なことしたら、ただじゃ置かないからねっ」
「はいっそんな悪い事なんんて絶対しませんから!」
「確かに、そんな簡単に危険な行動でもとられたら、たまったもんじゃないわね・・・」
少しレインの顔が暗くなってしまった、私が素性を詳しく言わないのを怪しく思っているのだろう。
レインからの信用度が薄れていってる気がするので、ここはしっかり働いて名誉挽回しなければ。
「ふぉふいえふぁ、はっひふぁふら、アヤふぇいごね・・・」
「ちょっと、ちょっと待って!下さい食べながら喋らないでください!食べながら喋ったら聞き取りにくいです!食べてから、飲み込んでからしゃっべって下さい」
てんぱって、すごく説明感のあふれる言い方になってしっまた。
私の言葉を聞き入れたのかレインは一呼吸おいて
ごくんとお茶と一緒にご飯をお腹の中へ流し込むようにしてから
口を開いた
「そうね、ちょっとはしたなかったかしら」
食べながら喋ったことを
恥ずかしそうに
何を言おうとしていたのか話し始めた。
「ゔゔん、ええとね、昨日全然砕けた話し方でいいって言ったじゃない」
あ、マズイすっかり忘れていた。
「あっはい」
「私が凄く砕けてるから、ちょっとやりずらいというか・・・あっでもでも、そんな直ぐに変えろとは言わないから!」
こう言われてしまっては、タメ口で喋るしかないか。
そのほうが親しみやすいようであればそうしたほうがいいのだろう。
「いやーあはは!すっかり忘れてたよー!」
「そうなのね、私は砕けた話し方のほうがやりやすいから、そのほうが助かるわ」
「うん、努力するね」
タメ口なんて、日本では家族くらいにしか使ってなかったな。
とか思いつつ、朝食を食べ終える。
「じゃあ制服に着替えてお店の方に来てねー」
レインに言われたとおりに制服に着替える。
その制服は、和服のような青を基調としたデザインの簡素なものだった。
靴はなんと下駄である。
これは慣れるまで時間がかかりそうだ。
まさか異世界で和服を着ることになるとは。
着替え終えると私はそそくさと表へ出る。
到着すると、レインのお父さんもとい店長さんもレインも準備万端、といった感じで私を待っていたようだ。
何だか申し訳ない。
「こんにちはー」
明るい印象を与えるために私は元気な声で言った。
「今、朝だからおはようだよ」
「あ...おはよう」
すごく恥ずかしかった
でも場の雰囲気が和んだと思うからちょっとは良かったかも。
恥ずかしがる私をよそに、店長さんが口を開く。
「やあ、おはよう待っていたよ。」
「あ!はいっ、よろしくお願いします」
「それじゃあ、開店までだいたい半刻だからだから支度をはじめようか」
「はい!」
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