第2話

 「ただいま〜。あれ?その人誰?」


「あ、美歩!おかえり。この人は今日から入部してくれる、私の幼馴染の蓮だよ」


「部員が増えるんだ。良かった」


 少しボーイッシュなショートヘアの、バドミントンラケットを背負ったこの人が美歩さんなのだろう。身長が高めでスタイルもよく、まさにモデルの様な風格がある。


「芽瑠、美歩、蓮君の入部祝いをしようと思っているのだけど、今からしても良いかな?」


「ん。良いよ」


「パーティ?良いね。でも用意無いんだけど」


「用意は大丈夫!ちゃんと生研の冷蔵庫にお菓子入ってるから!」


「お菓子?」


 芽瑠さんが急にゲームをやめ、こちらを向く。どうやらお菓子が大好物のようだ。


「うん。ちゃんとチョコもあるよ」


「やった〜!」


「え、ちょ、芽瑠さん?」


 はしゃいで俺に抱き着いてくる。おおーい芽瑠さん?色々当たってるんですけど…。


「あ……」


 何をしていたか理解した芽瑠さんが顔を真っ赤にしている。皆が俺の方を見つめてくる。え?俺が悪いの?


「あ…あの…なんか…ごめん」


 一応謝っておく。ただ…謝って済む訳じゃ、無いよな…。と言うか俺悪くないんだけど。


 芽瑠さんは半泣きになりながら涼乃の後ろに隠れる。涼乃が芽瑠さんの頭を撫でて、なだめている。こう見ると、身長差もあってか姉妹に見えるな。涼乃は昔から少し大人びていて姉っぽさもあったしな。







 芽瑠さんがようやく落ち着いたみたいだ。


「蓮…君。…ごめん…」


「ああ。俺も…悪かった」


 まあ何とか丸く収まったようだ。良かった。入部直ぐに仲が悪くなるのは望ましくないからな。


「パーティー、する?」


 涼乃がチョコを振りながら芽瑠さんに聞く。


「…うん!」


 





 「まずみんなの自己紹介から始めよっか!美歩からよろしく」


「私の名前は鉢嶺美歩はちみねはるほだよ。一応ここの副部長をしてるよ。よろしくね」


「わ、私は…新海芽瑠にいみめる…です。部長…してます」


 部長?てっきり涼乃が部長だと思ってたんだけどな。


「私は知ってるよね?じゃあ蓮君、自己紹介してくれる?」


「分かった。俺は河原蓮かわはられん。よろしく」


「うん。ありがとうね。じゃあパーティーしよっか!」


「顧問とかは?いないのか?」


「いるにはいるよ。まあ、あんまり顔出さないんだけど」


「そっか」


 顧問が顔を出さないのはありがたいな。だからゲームをしていても問題ないのだろう。


 こうして色々あったがパーティーが始まった。驚いたのが、芽瑠さんがかなりの量のお菓子を食べていた事だ。お菓子が好きとは言っていたが、あの小さな体のどこに入るんだ?と思う程食べていた。

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